メッセージ欄
2003年6月の日記
▼ 2003/06/28(土)
【日常】
■『バトル・ロワイアルII』刊行を祝う会。
二次会では杉江松恋さんが「霜月蒼さん(♂)の尻はいかに素晴らしいか」について語り続けた。そんな話を聞いてたせいかどうかは不明だが、店を出るころにはかなり気分が悪くなって、中華料理店に行く人々と別れてふらふらと帰宅。私はそっち方面の描写に弱いのかもしれない。
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▼ 2003/06/25(水)
【日常】
■泣ける本
職場近くの書店で、こんな手書きのポップを見かけた。
泣いてください。そして、善と悪について考えてください。
あーまたアレですか。癒しとか感動とか、そーいうアレですか……と、ポップの下を見ると、そこには信じがたいモノが平積みにされていた。
正気ですか。
あれは「しまった読んじゃった」と思うことはあっても、泣くとかそういうのとは違う位相にある本だと思う。
よりにもよってジャック・ケッチャム。しかもその鬼畜ぶりが存分に発揮された『隣の家の少女』だ。『隣の家の少女』といえば、「読後嫌な気分になった本ベスト10」を語る際には外せない一冊だ。
しかもおそろしいことに、このポップが効果を挙げた現場を見てしまった。
これらとは別の本を買って、レジでお金を払いながらふと隣を見ると、なんとケッチャムの本を買ってる人がいたのだ。『隣の家の少女』に『ロード・キル』、さらには『オンリー・チャイルド』まで。しかももう一冊買っていた。……相田みつをの本を。
ケッチャムと相田みつを。もう、こんな組み合わせを目にすることは二度とないだろう。
有隣堂某店に対しては、貴重なものを見せてもらったことを感謝すると同時に、いったい何を企んでいるのか、と問うておきたい。
……まあ、『モンスター・ドライヴイン』で泣いたような人間が何を言っても無駄かもしれないが。
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▼ 2003/06/23(月) 表紙買い
【読書】
CDを買うときに、ジャケットだけを見て、そのまま勢いで買ってしまうことがある。
それと同じように、表紙だけを見て買ってしまった本がある。私の場合、ジャケ買いはともかく、表紙買いには「当たり」が多いような気がする。
そんな「当たり」をいくつかご紹介しよう。
それと同じように、表紙だけを見て買ってしまった本がある。私の場合、ジャケ買いはともかく、表紙買いには「当たり」が多いような気がする。
そんな「当たり」をいくつかご紹介しよう。
■フィルス
表紙は赤、青、黄色の3バージョンあった。この本、諸般の事情でうちに2冊あったので、1冊を人にあげることにした。そこで先方に「青と黄色のどっちがいいですか」と聞いたところ、「青と黄色って?」と戸惑わせてしまった。
ところで表紙のブタは、イギリスのおまわりさんの帽子をかぶっていたりする。これ、本国じゃちょっとした問題になったらしい。
内容はといえば、股間に湿疹、腹にサナダムシを抱えた、お下劣刑事の鬼畜な日常。ところがどっこい、これが凄まじく泣かせる話なのだな。私にとっては1999年翻訳ものの最高傑作。
■バカなヤツらは皆殺し
男としてはちょっと嬉しいアングルに惹かれたわけじゃないけど、買ったその日に一気読み。こいつはこれまでに読んだ小説の中でも、確実にベスト10に入るだろう。表紙買いでそんな作品に出会えるってのは、とても運がよかったと思う。→詳細■驚異の発明家の形見函
いろいろな品が詰め込まれたこの箱が、どうやら「形見函」と呼ばれるものらしい。読んでみれば、これが実に内容に合った表紙であることが分かる。この形見函に配された品の一つ一つから紡ぎだされる、ある発明家の生涯。それはやがて、この形見函へと収斂してゆく。
想像力を刺激してくれる表紙だ。
■地獄のコウモリ軍団
「モンティ・パイソン」に欠かせない、テリー・ギリアムのアニメを思い出した。内容も、モンティ・パイソンとはいささか流儀が異なるものの、やっぱりブラックユーモアがあふれている。毒気の効いた短編集だ。- TB-URL http://bookstack.jp/adiary.cgi/01441/tb/
▼ モンスター・ドライヴイン
【ホラー】
ジョー・R・ランズデール / 創元SF文庫
ドライヴイン・シアターでB級ホラー映画を楽しんでいたぼくたち。そこに突然、怪しい光を放つ彗星が飛んできて、ドライヴイン・シアターごと異空間に閉じ込められてしまった! 果たして、ぼくたちはここから生きて出られるのか?
ドライヴイン・シアターでB級ホラー映画を楽しんでいたぼくたち。そこに突然、怪しい光を放つ彗星が飛んできて、ドライヴイン・シアターごと異空間に閉じ込められてしまった! 果たして、ぼくたちはここから生きて出られるのか?
■第一印象
初期のランズデールはスプラッタパンク寄りの作品も書いていた。閉鎖空間でのサバイバルを描いているという本書も、そのひとつかもしれない。最近の作品に見られるようなストレートな骨太さよりも、ひねくれたブラックユーモアが前面に出てきそうだ。■読み終えて
表層の雰囲気はまさに予想通り。閉鎖空間での食と排泄にスポットを当てた物語は、進めば進むほど陰惨な暴力と黒い笑いに覆われてゆく。後半のポップコーン・キングの存在と、彼が放出するポップコーンの描写の気色悪さは秀逸。だが、底に流れているのはいたってまっとうな心情である。
閉じ込められた観客たちは、わずかな食料をめぐって激しく争う。次第に人間性を喪失し、やがてはポップコーン・キングのような「怪物」にひれ伏してしまう。
そんなふうに狂ってゆく群衆の中で、ぎりぎりの試練にさらされながら、なんとか理性を保ちつづけようとする主人公の姿が心に残る。表面的にはまったくタフには見えないのだが、その内なる強さが胸を打つ。マス・ヒステリーのなかで、ひとり冷静さを保つ。それは困難なことだし、時には危険ですらある。
まさかこんな本を読んで目に涙しようとは思わなかった。
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