蔵書仕分け

日々報じられる事業仕分けの様子を見ながら連想しているのが、手元の本の整理である。

本というものはいつの間にか増殖しているもので、居住空間の維持のためにもどこかで削減しなくてはならない。これはきっと再読するから残しておこうとか、この作家のものはもういいや処分してしまえとか、この作家の本が入手難になることは当面なさそうだから手放してよかろうとか、日々ひとり行政刷新会議を続けている。

事実上凍結されたはずのスーパーコンピュータ開発予算が科学者からの抗議によって「見直し」となったように、いったん処分すると決めた本を、逡巡したあげく「やっぱり……」と本棚に戻してしまうこともある。私は誰かに抗議される前に方針転換しているので、これに関しては鳩山政権に勝ったと称しても差し支えないだろう。

ただし、勝っても部屋はなかなか片づかない。あちらの事業仕分けの対象が、騒いでいるわりには予算全体に占める比率がきわめて小さいのと同じように、私が整理できたのも氷山の一角に過ぎない。改革への道のりは遠い。

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