■[ミステリ] ハシシーユン暗殺集団 / テッド・ベル (1)
表紙からも分かると思う。頭をカラッポにして楽しむ冒険アクションものである。主人公は海賊の末裔で大金持ちで元英国海軍中佐といういかにもなヒーロー。敵は女性ばかりの暗殺集団。いやあ実に楽しそう。
しかも「クライブ・カッスラー絶賛」である。「スティーヴン・キング絶賛」には全く情報量がない(何でも褒めるからだ)けど、カッスラーである。傾向が明確ですね。少なくともパトリシア・ハイスミスみたいな作風ではない(……って、表紙を見れば分かるか)。
で、登場人物表がまた素晴らしい。これだ。
イチノヤマ……力士
力士! 力士だ!
元軍人やテロリストや米国国務長官に混じってスモウ・レスラーである。どういう活躍を見せるのかまったく分からないが、同じ日本人としてイチノヤマを応援したい(実はモンゴル人だったりしないよな。モンゴル人でも応援するけど)。
読んでみると、けっこう早い段階でイチノヤマの素性が明らかになる。彼を含む四人の力士は、優れたボディガードを求めるある人物に誘拐されて、国外に連れ去られたのだ。
当時、四人の力士の失踪に日本じゅうが大騒ぎとなった。だが、四人の行方は杳として知れず、そのうちに日本は不況のどん底に陥り、消えた力士たちのことは忘れ去られた。
ひどいよテッド! あんまりだ!
なんだか作者に対して腹が立ってきたが、ミステリマガジンに書評を書くためにも、そしてイチノヤマの活躍を見届けるためにも、がんばって最後まで読もうと思う。