3連休その2

[] 殺人展示室 / P.D.ジェイムズISBN:4150017662  (1)

 P.D.ジェイムズの作品は、読めば間違いなく満足できる。安心して読み始められる作家なのだが、とにかく序盤がつらい。最初の5分の1~4分の1を読み終えるまで、あの独特のへヴィネスに体がなじまないのだ。

 つらいです。

[] アストロシティ:ライフ・イン・ザ・ビッグシティISBN:4902314827

派手なコスチュームに身を包んだヒーローが飛び回る話でありながら、人生の一局面を切り取った渋い短編集として楽しめる。偶然ヒーローの正体を知ってしまった小悪党が主役の、可笑しさと物悲しさが入り混じった物語が印象深かった。

[] Elektra:Introspect

ISBN:0785109730

ストーリーはグレッグ・ルッカによるもの。暗殺者エレクトラが、かつての自分の犠牲者の遺族や雇用主によって追い詰められ、そこから復活を図る物語。ヒロインが過去と対峙するというパターンは『わが手に雨を』ISBN:4163233601や『耽溺者(ジャンキー)』ISBN:4062749823あたりにも通じるものがある。

裏表紙が結構イイです。

ヨーロッパ・ユニバーサリス2

ISBN:B0001C63YE

歴史上の1カ国を選んで、その内政や外交を操作し、15世紀から19世紀までの400年間を乗り切るゲーム。実を言うとこれのせいで読書が捗りません。

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3連休その1

[] The Savage Tales Of Solomon Kane / Robert E. Howard (1)

ISBN:0345461509

ハワードといえば、コナンを描いてヒロイック・ファンタジーというジャンルを切り拓いた人物。その彼が、コナン以前に創造したヒーローの物語を収めた作品集。

舞台は16世紀のアフリカ。イギリス人ソロモン・ケインは、黒一色のいでたちで放浪の旅を続ける。彼の行く手には、暗黒大陸の数々の怪異が……

秘境探検ものではあるけれど、やはりソロモン・ケインというヒーローの存在感が強い。……といいつつ、原書なのでまだはじめのほうを少し読んだだけ。

Daredevil Visionaries:Frank Miller Volume 1

ISBN:0785107576

映画化もされたヒーローもの。こちらは絵が中心なので、原書といえども比較的スムーズに読み進めている。

女暗殺者エレクトラが登場するころのエピソードが高く評価されているようだが、本書はそれより前。まあ、ふつうのヒーローものという感じ。

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2005-03-18

[] 皇国の守護者9/佐藤大輔 (2)読了

やはり経過日数は短くなっているような(8巻もこんなものだったっけ?)。そのうち1冊かかってようやく2時間経過とか、そういうことが起きても不思議ではない。

それにしてもこの人のシリーズもので、「征途」のほかに最後までこぎつけたものはあるのだろうか。

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2005-03-17

[]皇国の守護者9/佐藤大輔 (1)

ISBN:4125008752

ちゃんと数えたわけではないので単なる印象だが、この人のシリーズものは巻を追うにつれて刊行ペースが長くなり、そして各巻の作中での経過日数は短くなっているような気がする。

[] ブラッドタイド/メルヴィン・バージェスISBN:4488563015(1)

時は未来。ロンドンは見捨てられ、ギャングの支配下に置かれている。周囲には獣人たちの土地が広がっている──という舞台のもと、北欧の伝説を語りなおすものであるらしい。版元はSFではなくてファンタジーに分類している。

まだまだ冒頭。

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2005-03-16

手持ちぶさた

 鞄の中に本を入れ忘れ、昼休みも読むものがなくて困っている……。

[] モロッコ水晶の謎/有栖川有栖ISBN:406182418X

 帰宅してから読む。「ABCキラー」は既読だった。

 小さな要素を丁寧に組み合わせた短編集で、別段マニアでもなんでもない人に「推理小説」の何たるかを知ってもらうにはよい本だと思う。

[] ニューヨークに舞い降りた妖精たち/マーティン・ミラー

 読了。大変満足。

二月二日ホテル/北方謙三ISBN:4041612268

 送っていただいた本。かつて文春から出ていたものと同じ。今回、角川文庫版の解説を書きました。

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2005-03-15

[] ニューヨークに舞い降りた妖精たち

ほぼ読了。

『踊る黄金像』ISBN:4151000755のような貴重品争奪戦と、妖精の国の地下革命劇と、一族の宝物を傷つけられた妖精たちの復讐譚と、美女に片思いするダメ男の物語とがぐちゃぐちゃに絡み合って進行する。といっても別に難しいことはどこにもなく、アホなドタバタに終始していて大変すばらしい。

そろそろ落としどころも見えてきたような気がするが、予想を裏切ってくれるとなおよい。

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のび太と英国貴族

[]インディゴの夜

読了。やはり、ホストひとりひとりの印象は(ほかのレギュラー陣に比べると)それほど強くない。謎解きもかなり淡白。とはいえ、話の組み立て方のおかげでなかなか楽しめた。

[]比類なきジーヴス

読了。のんきな青年貴族のバーティーが、あれこれの騒動に巻き込まれたり自ら首を突っ込んだりして、切れ者執事のジーヴスの機転が事態を収拾する、という物語。……のび太とドラえもんのようなコンビである。ジャイアンの代わりはコワい伯母さん。ただし貴族だけに財産もあり態度にも余裕があり、なんというかのび太のくせに生意気だ。パターンができあがっていて、各話ともたいへん心地よく読むことができた。

[] ニューヨークに舞い降りた妖精たち

序盤も過ぎ、並走していたいくつものエピソードが徐々に関わりあうようになってきた。適度にバカ騒ぎが起きていてよい感じ。

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2005-03-10

推理作家協会賞短編部門二次選考

 かんじだらけだ。

 2004/12/13から時は流れて、今日は二次選考(そんなわけで、ここしばらくは読書の合間に候補作の短編を読んでいた)。

 選考自体は、プロセスがきちんと確立されていて、たいへん効率よく進行した(後で聞いたら、今回は比較的スムーズだったそうな)。これでExcelなんぞが導入されたらさらにスピーディになりそう。

 それにしても、予選委員の皆様の嗜好が重なったのか、あるいは元々そういう短編が多いのか、似た傾向のオチがつく短編がいくつかまとまっていたのが面白かった。あと、予選委員は当然すべての候補作を読んでいるので、何の気兼ねもなく「アレとアレって、どちらも双子をネタにしてましたけど……」みたいな話ができるのも、精神衛生上たいへんよろしい。

 ともあれ、大量の短編小説をまとめて読むのはなかなか楽しい。一押しの候補作が補欠にとどまったのはちょっと残念だったけど。

[] インディゴの夜

半分読了。一風変わったホストクラブを開いた女性ライター&編集者、そしてホストたちがトラブルシュートに奔走する、という連作短編。

今のところ、キャラクター(主にホストたち)の役割分担があまりはっきりしていないという印象。とはいえ、楽しく読ませる作品である。

[] ニューヨークに舞い降りた妖精たち

スコットランドの妖精たちがニューヨークにやってくるファンタジー。もっとも、妖精たちの一人がケルト風スラッシュを志していたところからもわかるように、古色蒼然とした世界に生きているわけではない。『アルテミス・ファウル』ISBN:4047914193のハイテク妖精ほどじゃないけれど、現代都市に対応できるくらいには近代化しているのだ。

 ところで「ケルト風スラッシュ」という言葉でSkycladを思い出した。素人にも分かりやすいケルト風メロディに、スラッシュメタル以外の場ではまったくつぶしの効きそうにないヴォーカルが乗って、けっこうおもしろかった。Celtic Frostは名前こそケルトだがスイスのバンドだし。

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s/エルロイ/ペキンパー/

オプ・センター・シリーズ

そういえば『ノドン強奪』『自爆政権』あたりはかつて読んでいたのだった。すっかり忘れていた。考えてみれば、熱狂的に人に薦めこそしないものの、ごくふつうに楽しく読める本だった。

そんないい思い出を吹き飛ばすくらいに「ネットフォース」がアレだったということか。同じクランシー&ピチェニックの作品なのに。

[] れんげ野原のまんなかで

読了。図書館とか本をネタにしていると、ついつい好意的に見てしまう。これが私だけの現象ではないことは、『死の蔵書』の人気を見ても分かる(あれが古本と無関係な話だったら、あんなに高く評価されただろうか?)。

小さな町の図書館を舞台に、いわゆる「日常の謎」を扱った連作短編集。「心温まる」といった言葉で形容されがちな分野だけれど、実のところこういうタイプの作品こそ悪意の描き方が重要じゃないかと思う(『空飛ぶ馬』なんて、そのあたりが実に巧妙)。苦味があってこそ甘みも引き立つわけで、「みんないい人でした」という話が続くと少々だれてくる。

で、これも基本的には「みんないい人」な話。それは少々物足りないけれど、他愛ないエピソードからだんだん深刻な話へ、という排列の順序はよろしいんじゃないかと思った。

本のことを語る小説、映画のことを語る映画

気になったのだが、「本好きが本の話をする」小説があるのだから、「映画好きが映画の話をする」映画もあるのだろうか。映画には疎いので、思いついたのは『スクリーム』くらい(でも、あれはあれで、「本好きが本の話をする」小説の映画相当とは微妙に位置がずれているような)。

バカなヤツらは皆殺し

そんなことを考えるうちに、上の疑問とは関係ないけれど、ふと思い出したのがヴィルジニ・デパントの名作『バカなヤツらは皆殺し』。

ISBN:4562033053

作中、ジェイムズ・エルロイを愛読する男が登場して、エルロイのことを話したりする(ヒロインはポルノ以外の本なんて読まないはずなのに、なぜかエルロイのことを知っているのだ)。

この小説は後に映画化された。えらくヴァイオレントな内容なので、フランスではけっこう騒ぎになったそうだ。

ISBN:B00005NJQ0

あのシーンはどうなったんだろう、と気にしながら見ていたら……あからさまにサム・ペキンパー風味の流血暴力映像に置き換えられていたので、思わず笑いそうになった。適切な映画化ですね。

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締め切り翌日

書評原稿

 締め切りに遅れること1日(というか事実上2日)。ごめんなさい。毎月この時期はお詫びをしているような気がする。

 ええ、のんきに本を読んでる場合じゃありませんでしたよ(本末転倒)。

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