耽読者

[]耽溺者(ジャンキー)

第二部に入る。ちょっとびっくりする展開。

[]ニューヨークに舞い降りた妖精たち

ISBN:4789724506

おくっていただいた本。表紙を見て一瞬固まってしまったが、帯にはニール・ゲイマンの賛辞も載ってるし、なにより作者は『ミルクから逃げろ!』ISBN:4899980353のマーティン・ミラー。これはぜひ自分が読むべき本だ。

でも今日はルッカを読み終えねば。

買った本

森谷明子『れんげ野原のまんなかで』東京創元社

ISBN:448801710X

私もこれで司書資格を持っていたりする。ただし現在の職業は……

加藤実秋『インディゴの夜』東京創元社

ISBN:4488017126

……ホストといえばメインフレーム。そんな職場です。

アレグザンダー・トロッキ『ヤング・アダム』

ISBN:4309204244

帯にノワールって書いてあったから思わず買っちゃったよ(←釣られやすい)。

[] 耽溺者(ジャンキー)

読了。緊張感に満ちた物語(特に第二部!)。アティカス・コディアックシリーズの番外編として扱われているが、これは立派な第四作だ。訳者あとがきによると、当初は==訳する予定はなかった==(←まちがい)第5作の後に訳される予定だったらしい。そんな予定を覆すくらいにこのシリーズが人気を呼んだということで、喜ばしいことだと思う。

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アウトローは確定申告をしない

確定申告

 申告書を作成。国税庁のホームページを利用するとけっこう楽である。

[] 起爆国境

 読了。ネガティヴな偏見を抱いていたせいか、そこそこ楽しく読むことができた。厳寒のヒマラヤ山中で大軍勢に追われるというシチュエーションは、もっとじっくり描いてくれてもよかったと思う。

[] 死の会計

 読了。評価は昨日とおおむね変わらず。それなりに工夫されたミスディレクションもあるのだけれど、演出の仕方が今ひとつで、結局コメディとしての面白さに軸足を置いているように思う。

[]耽溺者(ジャンキー)ISBN:4062749823

で、こちらを読み始める。『守護者』にはじまるアティカス・コディアックものの四作目というか番外編。シリーズの重要なキャラクター、私立探偵のブリジットの物語。

[]アウトローの世界史

近代化への抵抗者としての「義賊」を論じた本。船戸与一の小説を読み返してみたくなった。

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ちびくろさんぼその他

ちびくろさんぼ

 昨日の記述で、「黒人差別をなくす会」のことを「黒人をなくす会」と書いていました。失礼しました。

 そういえば「チビクロさんぽ」ISBN:4762820989という、「ちびくろさんぼ」の男の子を黒い犬に置き換えた絵本がある。「黒人を登場させるとマズイから犬に変えよう」という発想はかえって危険な気がするのだがどうだろう。

 案の定、「黒人差別をなくす会」は版元の北大路書房に抗議している。

 ……もっとも、上記リンクの先で公開されている「なくす会」と北大路書房の手紙のやり取りを読んでみると、北大路書房側が何を反論しても、ただ「差別的図書だからダメ」と繰り返すだけで具体的な指摘をまったくしない「なくす会」の奇異な姿勢が印象に残る。

「なくす会」が『ちびくろさんぼ』の版元に抗議したときも、こんな調子だったのだろうか?

[]起爆国境

「ちびくろさんぼ」と同じく舞台はインド。とはいえ、こちらはインドとパキスタンの対立をえ扱った作品で、もちろん虎は出てこない。

「ボブ、わたしは、これがジャックの建てた家というあの童謡とおなじだということをいいたいだけだ。ひとつのことが、つぎのことにつながり、それがまたべつのことへとつながってゆく。ひょっとして杞憂かもしれないが、どのみちかんばしい状況ではない」(p188)

 おおドミノ理論だ。もちろん共産主義の拡散を警戒しているわけではなく、インドとパキスタンの間で核が使われたら、中国だって台湾に使うかもしれないし、そうなりゃロシアだって(以下続く)、という理屈。で、こういう理屈に基づいてアメリカ政府がひそかにインドとパキスタンの間に渦巻く謀略に介入する。

[]死の会計

2/3ほど終了。今のところミステリとしてはやや物足りない感じだが、読み物としては実にユーモラスで楽しい。『小麦で殺人』なんかは、ミステリとしてもなかなかよくできていたんだけど。

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大雪の日

[]ねじの回転

ISBN:4087745856 

大雪なのでふと思い出す。

2.26事件に揺れる雪の帝都で、未来の人間と当時の人間が歴史を「修復」するために、えらく泥臭い試行錯誤を続ける話。

何年か前に、とあるソフトウェアの拡販用にFlashでムービーを作る仕事をしたことがある。あのときの様子を思い出す。「そのアイコン、もっと真ん中にしたほうが」といっては少し手直し、「キャプションの表示が遅すぎないか」といっては直し。えらく瑣末な作業の積み重ね。2.26事件の話なのに、たいへん制作現場っぽい雰囲気だった。疲労してるのに妙にモチベーションの高い登場人物の様子とか。

[]起爆国境

 一昨日は文句をたれたけど、読み始めると意外と楽しく読める。実のところ、毎回舞台を変えるだけで話の構図は似たようなものだったりするのだけれど。それはそれで、別に非難されるべきことではない。

[]死の会計ISBN:4846005240

 自慢できない経営状態のコンピュータ会社に、凄腕会計士が送り込まれて大騒ぎ……という話だけど、背景は1960年代。コンピュータ会社といっても今日のそれとはずいぶん様子が異なる。なにしろ主力商品がレジスターだったりするのだ。

 全体としてユーモアの色が濃い。最後までこれを維持できればなかなかいい感じ。

「ちびくろさんぼ」復活

http://www.zuiunsya.com/news/chibikuro.html

「黒人差別をなくす会」の抗議で書店から姿を消したんだっけ。

その団体の所在地が大阪だという話を聞いたときに、「やはり虎が敗れる話には我慢ならないのか」と思ったのは内緒です。

(3/5付記:「黒人差別をなくす会」の名称を間違えていたので訂正しました)

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飲んだ翌日

酔っぱらいの買い物

 昨夜のこと。

 職場の人と飲んだ帰り、HMVの前を通った。いつのまにかJudas PriestとSoilworkのアルバムを買っていた。

 まあ、これらのCDはそのうち買っていたはずだからまだいい。

 かつて酔っぱらって本屋に行って、なぜか東ドイツに関する本を3~4冊買ってしまったことがある。翌朝ちょっとあきれてしまった。なぜ夜中に東ドイツなんぞに興味を抱いたのか、あの日の自分に聞いてみたい。満足な答えが得られるとは思えないけれど。

[]忌まわしき絆

読了。当時はともかく、今日ではすっかり手垢にまみれたネタと、当時もすでに使い古されていたのではと思えるネタが複合していた。こういうB級臭さは好きなんだけれど、この本の素朴な味わいとはあまり合わないような。

[]起爆国境ISBN:4102472320

クランシー&ピチェニックというと、「ネットフォース」のヨレヨレぶりもあり、ちょっと悪い予感とともに読み始める。まあ、こちらのシリーズはそれなりに読めることが多いけれど。

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もう3月か…

[]忌まわしき絆

中盤も過ぎたけれど、モダーンなホラーにくらべるとずいぶんのどかな感じ。語り手たちは英国の田舎を旅しながらのんびりと謎に迫っている。これがディーン・クーンツの本だったら、今頃はもう大変なことになっているはずだ。

超常現象を扱う手触りは古典的な怪奇小説のそれに近い。

居酒屋店員刺殺される 70カ所、20万円強奪

なんか聞いたような名前の店だと思って確かめてみたら、去年2回くらいここで飲んでいたのでした。びっくり。店員は18歳だったそうで、自分にあてはめてみればマイクル・スレイドを知らないまま命を落としたことに相当する。痛ましいことだ。

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青山ブックセンターとか

買った本

ここしばらく、毎週月曜日は仕事で青山ブックセンター青山店の前を通る。

前を通ったからには本を買わないわけにはいかない。

ISBN:4336046751『比類なきジーヴス』P・G・ウッドハウス/森村たまき訳/国書刊行会

ISBN:4872339215『ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ』ブルボン小林/太田出版

ISBN:4839915725『Apple II 1976-1986』柴田文彦(編著)/毎日コミュニケーションズ

ウッドハウスの本はそのうち文春からも出るはず(ですよね?)。

ジーヴスといえば、http://ask.jp/ でユーザを出迎えてくれるキャラクターでもある。英米はともかく、日本のサイトで何の説明もなしに彼を出しても、「なんか執事みたいなのがいる」で終わってしまいそうで、ちょっともったいない。

[] 忌まわしき絆ISBN:4846005232

 次号のミステリマガジン書評用。今のところ英国本格ミステリみたいな雰囲気だけど、どうやらモダンホラーみたいな話であるらしい。ひと昔前の創元推理文庫にひっそり収まっていそうな感じ。

[]十三番目の陪審員ISBN:4043587015

 そういえばこれ、陰謀小説なのだな。topicsに追記。

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tDiaryを導入

tDiaryを導入

 数年前にも使っていたような気がするけど気にしない。

 日々の内容はこちら、ある程度まとまった内容は従来の形、として使い分けるつもり。

そんなわけで

 既存の内容(タイトルが日付になっているもの)も、いずれはこちらに移したい。

スタイル

 Wiki風の記法になれてしまったせいか、tDiaryのもともとの記法にはどうも馴染めない。wiki_style.rbを導入したら、だいぶ書きやすくなった。

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デス・バイ・ハリウッド

ASIN:4163236708スティーヴン・ボチコ / 文藝春秋

 「ハリウッド小説」という区分がある。小林信彦だったか中田耕治だったか、エッセイでそんな表現を用いていた。ここ1年少々の間(2004年~2005年)に訳されたものだと、

などなど。……で、この本も「ハリウッド小説」のひとつだ。

まるで「裏窓」の主人公のように殺人事件を目撃してしまったスランプ気味の脚本家を中心に、その離婚寸前の妻、殺人を犯した女優、事件を捜査する刑事らが織り成すサスペンス。ごくオーソドックスなつくりではあるけれど、語り口で読ませるタイプの小説だ。

語り手をつとめるのは、くだんの脚本家のエージェント。なぜかこの人、自分がその場に居合わせなかったできことを自分の一人称で詳しく語っているのだが、その事情は最後に明かされる。

登場人物がみんなそろって自己の欲望に忠実で、セックス描写もやたらとあけっぴろげだ。ポルノとまではいかないけれど、艶笑談めいた雰囲気は確かにある。

ジョークや小話をうまく配して、人物などの描写に役立てている。ある人物の葬儀のシーンで、遺族がスピーチでユダヤ人と浣腸に関するジョークを口にするあたりが象徴的だ。「犬が自分の考えた物語を飼い主に話して聞かせる」という話も、物語の流れを握る鍵として巧みに使われている。

作者は「刑事コロンボ」の脚本をはじめ、アメリカのTVドラマ制作では知らぬもののない大物。脚本を書いていた人の小説というと、地の文がト書きっぽくなってしまうという印象があるけれど、この小説は地の文も楽しい。

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無頼の掟

ASIN:4167661896 ジェイムズ・カルロス・ブレイク / 加賀山卓朗(訳) / 文春文庫

1920年代のルイジアナ。ソニーは危険と隣り合わせの暮らしに憧れ、叔父たちについて銀行強盗に。だが、初舞台で捕まってしまい、脱獄困難な刑務所に送り込まれる。しかも、数々の犯罪者たちを葬った伝説の鬼刑事が、ソニーを息子の仇として付け狙っていた……。

犯罪小説で、恋愛小説で、成長小説で、……と、いろいろな切り口で読むことのできる熱気あふれる小説。

主人公たちもさることながら、主人公を追う鬼刑事ボーンズの個性に圧倒される。登場ページ数は少ないにもかかわらず、この本で最も印象に残るキャラクターのひとりだ。この手の冒険活劇の敵役として、実にツボを押さえた装飾が施されている。

黒いスーツに身を包み、数々の悪漢たちを正当防衛に持ち込んで殺しながらも、一度も裁かれたことはない。最大の特徴は、ペンチだ。

彼はかつて犯罪者に撃たれて左手を失い、そこにペンチを取り付けている。フレディ・クルーガーのナイフ爪のようなものか。ただし、刃物ではなくペンチを選ぶところに、ボーンズの陰惨な暴力指向が垣間見える。主人公の行方を知ってそうな奴を捕まえては、ペンチを使って拷問する。この作品、陰惨な描写はそれほどない(あ、男なら思わず前を押さえて不安になる描写があった)のだけれど、こいつの登場シーンだけは陰惨だ。禍々しい雰囲気が漂う。

「手」という汎用的な道具を、用途の限られた道具に置き換えるというのは、キャラクターの性格付けとしては実に強力だ。特に、こういう活劇調の小説では。そういえば、特撮ものなんかも、敵味方問わず手を機械に置き換えたキャラクターがいろいろ登場していたように思う(最初に思い浮かんだのがライダーマンだったりするのがちと悲しい)。

……ペンチのことばかり書いてしまったが、読みどころは他にも多く、そのすべてを網羅するのは難しい(解説をまるごと読んでもらったほうが早い)。ラスト1行半の幕の引き方はあまりにも鮮やかで、深く息をつきながら読み終えた。

と言いつつやはりペンチのことが気になるのだが、あれはどういう仕組みで開閉しているんだろう。彼の左手は吹き飛ばされたはずなのに。これがサイバーパンクというものか(←違います)。

まあ、いろいろありますが、なにはともあれペンチ最強。

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