早川書房で開催中の「ポケミス全点展示」を見に行った。
101『 大いなる殺人』から1875『カルニヴィア1』 まで、千数百冊の本の表紙がずらりと並んでいるだけなのだが、これで十分に見応えがあった。
最初に自分で買って読んだのは1362『死者たちの礼拝』。デクスターの『ニコラス・クインの静かな世界』までは文庫で読んだものの、その先は当時ポケミス版しかなかったから……というのがきっかけだった。
新刊をチェックするようになったのは1584『のぞき屋のトマス』あたりから。大学生になってから入った推理小説同好会なる団体では毎週読者会をやっていて、これが課題作だった。
ミステリマガジンに新刊評を書くようになったのは1723『007/ゼロ・マイナス・テン』のころ。007といってもフレミングが新作を書くわけがないので、これはレイモンド・ベンスンという別の作家がイアン・フレミング財団公認で書いたもの。
結婚したころに手にしたのは、たしか1757『怪人フー・マンチュー』。新婚旅行に持っていこうとしたが思いとどまった。すでに綾辻行人『暗黒館の殺人』が重荷になっていたからだ。
……と、「あのころ読んでたもの」を思い出したり、あるいは「この本を読んだ頃の自分」を思い出したりと、小説の内容に限らず、いろいろな記憶が呼び起こされる展示だった。