火星の土方歳三


吉岡平 / ソノラマ文庫

 手に取ったきっかけは、この強烈な題名だった。火星の土方歳三。志茂田景樹の怪作『戦国の長嶋巨人軍』と同じ形式である。

 五稜郭で戦死した土方歳三が、バローズ描くところのバルスーム──火星に転生するというお話。史実でも刀振り回していた土方歳三にとっては似合いの舞台だろう。

 「捕らわれた牢獄の中で力強い味方に出会う」なんてのをはじめ、バローズがよく使っていたパターンを再利用して話を組み立てている。舞台が似通ってるだけじゃなくて、ストーリーにも「らしさ」が生まれている。新撰組のエピソードとして伝わっている話をアレンジして取り入れてみたり、細かい工夫も行き届いている。「火星シリーズ」という原典を踏襲しながら密着しすぎない、バランスの取れた作品だ。

 舞台と主人公がしっくり馴染んでいるおかげで楽しく読めた。題名からすると際物に見えるけど、『戦国の長嶋巨人軍』と一緒にしてはいけない(『戦国の~』は楽しいと言えば楽しいのだが、際物以外の何者でもない)。

※2008/01/03追記:いま試しに『戦国の長嶋巨人軍』のリンク(amazon行き)をクリックしてみたら、\6500~\7000という気が狂ったような値段が付いていた。戦国で長嶋で巨人軍なわけだが、よく考えてほしい。

カテゴリー: SF パーマリンク

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