ゼウス -人類最悪の敵

人類 vs 怪獣軍団の死闘

大石英司 / ノン・ノベル

 北海道で起きた謎の事故。その後、UFOに誘拐されたという女性の胎内を食い破って出現した謎の生物は、山中へ逃げた。やがて、その生物は増殖し、2mの巨体と驚異的な運動能力をもって、群れをなして人類を襲う。やがて世界各地で同様の事件が起き、その生物は「ゼウス」と命名された……。

 群をなす怪獣が北海道に出現……というわけで、思い出すのは「ガメラ2 レギオン襲来」。もっとも、ゼウスはレギオンみたいに巨大化するわけではない。そして何より、お子様向け怪獣映画では絶対に描写できない特性の持ち主だ。

 そう、ゼウスは女性を襲う。そして胎内で増殖するのだ。強姦超獣ゼウス、とか書いてしまうと「ウルトラマンA超獣大図鑑」のような趣きがあるが、下手するとウルトラセブン第12話の仲間入りだ。

 これを迎え撃つ人間側は、というと、主に北海道住民と自衛隊の活動を中心に描かれる。市長の座を狙っていた一市会議員が、たまたまリーダーシップを発揮して、町を要塞化してゼウスの侵入を防ぐことに成功したり、自衛隊の元レンジャーとその息子との関係が描かれたり。ただし、日本政府があまりに有能なのは少々リアリティを欠いていたように思う。まあ、十分デスペレートな状況なので、物語を根幹から損なうことはない。

 真っ先に連想したのは梅原克文。ジェットコースターのように進む物語、型通りの登場人物。とはいえ、それがあながち欠点とはいえない。「典型的」な人物が多いおかげで、物語は非常に分かりやすいものになっている。ただし、ゼウス出現の背景までもがかなり陳腐になってしまったことは否めないが。

 「怪獣もの」に好意的な人間ならば、それなりに楽しく読める怪獣パニック小説。

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