ミス連合宿

ミステリとエルティーンの週末

 伊東にてミス連合宿に参加。今年のゲストは石持浅海氏。たいへん親しみやすい雰囲気の方で、たいへん明快かつ論理的なお話をうかがった(が、私は重度の二日酔いで何度か中座した。うう)。

 最終日は小田原で途中下車。古本屋→寿司屋をまわって帰った。

 今回の裏のヒットは、杉江松恋氏が「資料」と称して持参していたエルティーン。読んでいて脳がグズグズになりそうだった。週刊文春の「淑女の雑誌から」でもおなじみのHな体験の投稿ページは、文体こそ頭の悪い中学生風味だけれど、センスはおっさん向け週刊誌のそれに近い。

 それにしても、女子中学生向けファッション誌を読んで爆笑する30代男性の群れ(20代女性も数人いたが……)というのも非常に不気味ではある。

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ドキュメンタリー

とあるドキュメンタリーの上映会に行った

ここ数ヶ月は家と会社の往復ばかりだったので、機会があればなるべくあちこちに出て行くようにしている。そんなわけでこの日も上映会に。

冒頭、アメリカで起きたある殺人事件のニュースが提示される。ある日系人が、独立記念日にスーパーの駐車場で数人の白人を撃ち、自分も死んだという事件だ。

なぜか日本では全く報じられることのなかったこのニュースに興味を抱いた作者は、事件があったアリゾナの小さな町へと取材に向かう。犯人は、戦時中の日系人収容所で生まれた。公民権運動に揺れていた南部の大学に進学し、その後ベトナム戦争に従軍した経歴を持つ。作者はその生い立ちを追って、収容所のあったカリフォルニア、南部の町、さらにはヴェトナムへと足を運ぶ。

きれいに答えの出る問題ではない。謎はさらに深い謎を呼び、調べれば調べるほど彼の犯行の不可解さが浮かびあがる。そして、作者の事件に対する思い入れの強さも。

諸般の事情で封印されてしまうらしいけれど、もったいないな、と思った。

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どーん

江東花火大会

 数日前に大森望さんからお誘いを受けて、今日は花火大会へ。ここ数ヶ月、仕事も忙しく、休日含めてほとんど出かけることがなかったので、こういう機会は活用したい。

 例年通り花火を堪能した後は焼肉屋へ。

 西葛西に来るのは半年ぶりか。一年前はここに住んでいたのだなあ。

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招かれた

神楽坂の料亭

に行った。「このミス」大賞選考委員の慰労会。ありがたいことです。

なんか、慣れないからかえって緊張しちゃったよ。

川口浩探検シリーズ

 そんなところに行ったというのに、帰りはなぜかこんなDVDを手にしている私。杉江松恋さんからお借りした。

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読みかけの本など

[] 英国占領 / マリ・デイヴィス

ISBN:4576050990 ISBN:4576051008

もしもナチス・ドイツがイギリス侵攻に成功していたら……という設定のもとで、占領下のイギリスを舞台にした、レン・デイトンの『SS-GB』(上ISBN:4150404526 / 下ISBN:4150404534)みたいな話。この手の話では定番の、国防軍とSSの確執もうっすらと描かれ、いっぽうのレジスタンスも一枚岩ではなく(なにしろ貴族もいれば共産主義者もいる)、占領下で暮らすイギリス国民の姿勢もさまざま。そんなわけで対立関係はけっこう入り組んでいて、その複雑さがおもしろさを引き立てている。

オタバリの少年探偵たち / セシル・デイ・ルイス

ニコラス・ブレイクが本名で発表したジュブナイル。

爆撃で両親を失った子供が戦争ごっこに参加していて……なんて描写をさらりと書いているあたりに凄みを感じた。

[] 魔の都の二剣士 / フリッツ・ライバー

ISBN:4488625088

 しばらく前に『ランクマーの二剣士』が刊行され、ようやく定訳版が全部揃ったシリーズ。1巻目からゆっくり読んでいる。

 1~3巻は旧版で読んだので、再読になる。異世界ファンタジーにパルプマガジン的怪奇小説の味わいを加えたものとして印象に残っている(読んだときは中学生か高校生だから、パルプマガジン云々は後づけ)。ところで表紙のイラストは、旧版のほうが作品の色に似合っていたと思う。

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読書会

読書会

 そんなわけで行ってきた。

 最近は本に関する意見をやりとりするのはネット越し、ということが増えたけれど、やはり実際に集まって意見を交わすのは面白い。学生のころは毎週そういうことをしていたわけで(慶応大学推理小説同好会の数少ない定例行事が毎週の例会だった)、思えばたいへん密度の濃い日々を過ごしていたのだ。

(ところで当日お会いした方には「学生のころ以来」と言ってしまったけれど、考えてみれば探偵小説研究会+逆密室による『ミステリアス・ジャムセッション』読書会があったのでした)

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地震と後宮

新宿に行く予定だったのが

 地震でJRがストップ。で、家からはJRを乗り継がないと新宿にはたどり着けない。そんなわけで出かけるのは断念。

 まあ、無理に新宿に行っても、地震の後ならどうせ魔界都市になっているはずだから危険……と自分に言い聞かせる。

[] 後宮小説 / 酒見賢一

ISBN:4101281114

 mixiの某コミュニティで、この本の読書会を催すというので参加することにした。かくして再読。

腹上死であった、と記載されている。

というふざけた1行目が作品のあり方を物語っている。

比較的短いこともあって、ディテールについては物足りない部分も残る(例えば、宮廷内の権力闘争についてはかなり端折られている)。とはいえ、ぬけぬけと嘘をつく姿勢が楽しい。

この稿を書くにあたり、拠ることになる文献は「素乾書」「乾史」「素乾通鑑」の三種で、前二者は宮廷の史官によるいわゆる正史である。

なんてことを書いてみたり、欧州の学術調査団の一人が著したという『素乾城の思い出』なんていう本まででっち上げてしまうのだ。タマカ・ヒエロの『千の木の葉』みたいなものか。

 で、主人公たちのちょっとマヌケな(しかもある種えっちな)振る舞いを描いた後に、

ここで、筆者も馬鹿かと思わないこともない。この小説のもとだねとなっている歴史書の一つ「素乾書」を編纂した無名の史官に対してである。正史とは国家の歴史の正式な記録である。にも拘らず、このような痴戯の類まで馬鹿正直に記載しているのである。

とかマジメそうに書いているのだ。このへんの「マジメな顔でバカなことを書く」という姿勢が素晴らしい。

そんな史官の執筆態度に筆者も好意を覚えざるを得ない。

 俺も好意を覚えたぞ。

 この本の「虚構を築き上げる」姿勢はかなり徹底していて、断言はできないが見た範囲では「中国」「漢字」といった語句は一切使われていない(7/24追記:よく見たら「中華」ってのがあった。文庫版p.185)。また、17世紀に存在するはずのないフランス皇帝だのイタリア軍だのが出てくるあたり、作中でのヨーロッパはどんな歴史を歩んだのだろう、と小説の中に書かれていない「隙間」への想像を刺激してくれる。

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タフの方舟

[] タフの方舟 1 禍つ星

ISBN:4150115117

 遠い昔に作られた、巨大なバイオ施設を備えた胚種船〈方舟〉。たまたま船を手に入れたハヴィランド・タフは、交易商から環境エンジニア(自称)に転身する。星々を渡り歩いて、膨大な人口を養える穀物や、害虫を駆除する生物を提供するのだ。もちろん、報酬をもらうことは忘れない…。

 タフが方舟を手に入れるまでと、方舟に乗ったタフがさまざまな星で遭遇する事件を描いた連作短編。

 帯には「宇宙一あこぎな商人」とか書かれていたけど、あまりあこぎな印象は受けなかった。ところが……

[] タフの方舟 2 天の果実

ISBN:4150115168

2冊目を読んだら、彼のヒドさがよく分かりました。

「魔獣売ります」は、有力者たちが猛獣を育てて闘技場で戦わせ、その勝敗で権力の序列が決まる惑星の物語。有力者の依頼で、タフがさまざまな猛獣を作り出すのだが、その中にこっそり「ゴジラ」なんてのが混じっていて愉快。

 ところで作者は、にらめっこで負けたほうが家来になる習慣を持つ吸血鬼たちを描いた『フィーヴァードリーム』の人ですね。

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七夕だけど

天気は……

 そんなわけで、私の「仕事が適度にヒマになりますように」という願い事は雨に消えた。

[] ハシシーユン暗殺集団 / テッド・ベル  (2)

力士・イチノヤマはやってくれました。本書のクライマックスは相撲勝負。主人公(もと海軍中佐)が、アメリカを破滅から守るために土俵に立つ!

もちろん「切腹」というキーワードも出てきます。国辱描写マニアは必読。

[] カインの檻 / ハーブ・チャップマン

ISBN:4167705060

重厚。好みには合わないが、いい作品だと思う。

[] 消えた境界線 / アラフェア・バーク

ISBN:416770501X

ジェイムズ・リー・バークの娘。もっとも父親の威光は必要なさそうだ。構成の緻密さは父親以上(もともと父の弱い部分でもあるのだが)。

某誌編集部さま

ごめんなさいごめんなさい。本当にごめんなさい。

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この文庫がすごい! 大賞

この文庫がすごい!

ISBN:4796647384

 4年ぶりに復活。

 1年間に文庫化(or再刊)されたミステリー/時代小説/恋愛小説のベスト10アンケート結果に、作家インタビュー、官能文庫大賞などなど。

 p.14とp.15では、福井健太さんと千街晶之さんが左右に並んでいる(わはははは)。ふと見ると、お二人そろって田中啓文『UMAハンター馬子』をベスト10にあげているではないか(わはははは)。


ISBN:4150307806 ISBN:4150307849

 あなたがクトゥルー神話好きなら、これを読んだ方がいい。あなたなら、作者が仕掛けた伏線(駄洒落だが)を正しく受け止められるはずだ。私は最終章で腰を抜かしました。

[]選考結果連絡

 選んだ結果を宝島社に連絡(遅れる人もいる模様)。これからコメントを書かなきゃ……

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