産経新聞用読書とかいろいろ。
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500万年後、1億年後、そして2億年後。人類などとっくにいなくなってしまった遠い未来、地球環境の変化に合わせて、生物がどんな風に姿を変えてゆくのかを想像した光景が描かれる(動物の絵は、おそらくCGを駆使したのだろう)。SFは絵だ、なんて言葉をふと脈絡もなく思い出す楽しい本だ。
表紙の魚みたいな生き物は、魚の2億年後の子孫だ。バックには海と空が描かれているけれど、彼らの生きる場所は、実は海じゃない--空のほうなんだ。陸上の動物たちが大量絶滅した後の世界で、魚たちは思いもよらない進化を遂げている。
この本の中で繰り返し強調されるのは、次の三つの学説だ。
これらの組み合わせが、次々と地球に暮らす生き物の姿を変えてゆく。かくして2億年後の地球の森では、意外な生き物が森の中を駆け回っている。いわれてみれば、たしかに樹上生活になじみそうな身体の持ち主だ。
読み終えてから、ふと気になった──2億年後も、ゴキブリはやっぱりあの姿で地上を這い回っているのかな?
解説もようやくまとめて早川書房に送付。
早川書房のKさんには「こども番組のおにいさんのような邪悪な語り」として好評だった。
それはありがたいのだが、ふつう「こども番組のおにいさん」は「邪悪」につながらないと思うぞ。
かぜぎみ。
クリスティー解説がらみで『ビッグ4』も読み返す。彼女の作品の中ではとても評価の低い一冊だが、たいへん気に入った。傑作であるとはまったく思わないのだが、なんとも愛すべきおはなしである。なにしろ、この本の敵役は「世界征服を企む悪の秘密結社」。ポアロが懸命になって彼らの陰謀と戦う冒険活劇なのだ。とんでもないひみつ兵器もでてきて、それはもう大変。グダグダなラストを読みつつ、弱った身体が癒されるような気分を味わった。
私にはどうしようもない愚作を気に入ってしまう悪い癖があるが、『ビッグ4』はそれを発動させてしまう一冊だった。
ここでは、そんな怪しい陰謀を描いた小説を集めてみた。
(ついでに、Amazonにて「これは奴らの陰謀だ! 素敵な陰謀小説の世界」なんてリストを作ってみた)
とりあえず、陰謀を企でた主体がどういう性質の集団なのか、で分類してみた。ちなみに「実はそんな陰謀はありませんでした」のようなオチの作品も混じっているが、ここでは区別しないで取り上げることにする。
『推理小説論叢』 という、慶応大学推理小説同好会50周年の記念冊子に書いた原稿がもとになっている。もともとは「各自の切り口で、全50巻のミステリ全集を作る」というコンセプトだったので、このリストも50冊限りだった。
もとの原稿はこちら→陰謀小説の選択基準
「ティム・バーナーズ・リーがナイト叙勲」というニュースが http://w3c.org/ のトップページを飾っているのを同僚が見つける。ちなみにこの同僚の人はW3C勧告を無視しまくったHTMLを見ると気分を害するくちで、しかも仕事の都合でそういうHTMLを山ほど目にすることがあるので、席の近い私はしばしば怯えている。
W3Cにもティム・バーナーズ・リーにも含むところはまったくないのだが、イギリスの叙勲というと、どうしても「ありもしない『帝国』の名で与えられる勲章など、ばかばかしい」という、J・G・バラードが叙勲を辞退して述べた言葉のかっこよさを連想してしまう。まあ、社会通念上は祝うべきものではあるのだが。
このページをご覧になる方はティム・バーナーズ・リーとかW3Cなんてものに馴染みが薄い方面の方が多いかと思うので少しだけ補足。
陰謀小説リストなどいじってみる。