2004-10-09

一大事

ミステリマガジン編集部から「明日には原稿送るように」

というメールが届く。異例のことではあるので焦るが、To: にまだ送ってない5人のアドレスが並んでいるのを見ると「なんだ皆さん遅れてるのね」と安心してしまう。今後は一人ずつ狙い打ちなさった方が効果的かと思います。

で、ろくに寝ないで原稿書いたところで、本日は一大行事が待ちかまえていたのであった。

我々はいわゆる結婚式だの披露宴だのはしないのだけれど、

親戚を招いて食事会を開くことにしたのだ。

……よりによって台風22号が上陸するこの日に。

会場はビルの54階だったけれど、景色など見えるはずもなく窓の外はただ真っ白。

幸い、料理には皆さん満足していただけたようであった。まあ忘れがたいイベントになったことは確かである。

暴風雨の中を帰宅した後は、ろくに寝てないところに大量の酒を飲んだこともあってすぐに寝てしまった。二日酔いしなかったのは、美味しい料理をたくさん食べたからだろう。

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2004-10-03

引っ越した。

10/1~2は必死に荷造りをしていた。

  • 部屋が狭い
  • 狭いのに大量に本を置いていて、使えるスペースが限られている

というのはかなり過酷な条件だった。もちろん、

  • 部屋が散らかっていた

というのがいちばん大きな障壁であったことは言うまでもないのだが。

引っ越しの荷物を運び出した後の部屋というものは、広くなったように感じられるというけれど、私の場合はそんなことはなかった。むしろ「こんな狭い場所でどうやって生きていたのだろう」と疑問に思うことしきり。

新居周辺の書店事情

 新居界隈で物足りないのは書店事情。近所に2軒ほど本屋を発見したが、国産小説はともかく海外作品については品揃えが寒い。1軒は、文庫の新刊くらいはひととおり揃っていたのだが、もう1軒は「ハリー・ポッター」シリーズとダン・ブラウンと指輪物語しか見あたらなかった。

楽しい職場みんなの……

 他に書店で目についたものといえば、『内側から見た富士通』。

ISBN:4334933394

 最近、本屋のビジネス書の棚にこれが平積みになっているのは見かけるけれど、その横にさらに富士通のPR本が積まれていたのは初めて見た。

ISBN:4822215660

 単体で見ればどうということはないけれど、なにしろ横に積まれているのが「内側から見た富士通」である。「新たなる挑戦」という語句が空々しく見えることうけあい。なにもこんなところに置かなくても……。

ちなみに、新居は川崎市内。電車で一駅のところに富士通の川崎工場がある。

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生首に聞いてみろ

ASIN:4048734741法月綸太郎 / 角川書店 (→角川文庫

法月警視は種々の奇抜な首切り手段を編み出して、殺し屋に伝授していた。そのことを知った綸太郎は、自らの家の血塗られた秘密に苦悩する……という話ではない。それでは別の話になってしまう。

病死した彫刻家が死の直前に創りあげた、娘をモデルにした石膏像。その首だけが何者かに切り取られ、持ち去られる。彫刻家の遺族に相談を持ちかけられた綸太郎は、調査のためにアトリエを訪ねる……という幕開け。

無駄のないシンプルな物語でありながら、中盤以降、事件をめぐる状況は二転三転する。作中のほぼすべての出来事が謎解きに奉仕している、贅肉をそぎ落としたような作品だ。

事件のモチーフはロス・マクドナルド風。そのへんは過去の作品と同じなのだけれど、テーマを作品に埋め込む手際は、過去に比べはるかに巧みになっている。

特に鮮烈なのが、第五部に描かれるある人物との会見シーン。ある人物の奇異な振る舞いは、ロス・マクドナルド作品のラストシーンのようなグロテスクさを備えている。そして最後まで読み終えることによって、そのゆがんだ印象はよりいっそう強化される。それは『頼子のために』に描かれた母親像の観念的な異様さとは別種の、きわめて生々しい異様さだ。

終盤の 犯人指摘→綸太郎による真相説明→エピローグ という流れは、幾分ぎくしゃくしているように感じた。特に真相説明のくだりは、ほんとうに「単なる説明」だけに徹している。謎解きそれ自体が読者を引っ張る力を備えているとはいえ、もうちょっと凝った演出があってもいいのではないか。もっとも、エピローグでは巧みにロス・マクドナルドのある作品の仕掛けを本歌取りしてみせていたので、少々の不満は吹き飛んでしまったのだが。

作者の計算通りにきっちりと構築されている、という印象を残す端正な作品。
端正な話もいいけれど、時には『誰彼』 『ふたたび赤い悪夢』のような勢い余って暴走してしまった作品も読んでみたい……というのは欲張りだろうか。そもそも長編の発表自体ずいぶん久しぶりだからなあ……。

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2004-09-29

『これだけは知っておきたい名作時代小説100』

見本が届いた。……実際に届いたのは先週なのだが。

ISBN:4901722417

題名通り、時代小説100作品を紹介している本だ。4作品の紹介を書いた。

ISBN:4334731007

ISBN:4101309310

ISBN:4093861323

ISBN:4396632142

4作中3作が伝奇もの……。

本屋で見かけたら手に取っていただけると幸いです。

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2004-09-23

地底その後

09/22のつづき。

私の通った大学の地下にも、トンネルが走っていたのだった。

http://www.keio.ac.jp/mamehyakka/89.htm

戦争末期に、海軍の司令部がおかれていたのだ。この地下壕を史跡にしよう、という保存活動も行われている。

http://www.townnews.co.jp/020area_page/01_thu/01_koho/2004_3/07_22/koho_jin.html

「地下壕は悲惨な歴史を後世に伝承していく良い教材です」という保存活動の原動力には敬意を払いつつも、不謹慎な者としては「地底のひみつ基地」というだけで十分保存に値すると思ってしまう。

地底のひみつ基地から次々と理不尽な命令(特攻は理にかなった命令とは言えないだろう)を繰り出す組織。それはもはや一国の海軍というより、特撮番組の悪の秘密結社である。

そんなわけで、ふと思い立って悪の秘密結社運営ゲーム「Evil Genius」のデモ版などダウンロードしてみる。

http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20040908/demo0908.htm

こんなことをしている場合ではないのだが。

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2004-09-22

地底小説愛好者には興味深いニュース

「パリの地下に秘密社会?」

http://www.nishinippon.co.jp/media/news/news-today/20040921/news009.html

パリの地下にはトンネルが縦横無尽に通っている、という話は有名だ。その起源はローマ時代に遡る。建物を造るために、地底から石を切り出していたのだ。

で、その地下でこっそり映画館やバーを設けて楽しんでる人々がいるらしい。『マンハッタン狩猟クラブ』のような殺伐とした世界ではないようだ。

パリ市警察は電気の不正使用の疑いで、電力会社の職員とともに捜索したが、電線は切られ「われわれを捜すな」という張り紙がしてあった。

という芝居がかった展開がよいですね。ルパンやファントマの地ならでは、である。

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2004-09-18

引っ越し業者に見積もりに来てもらう。

やってきた担当者は、混迷を極めた部屋を眺めつつ「じゃあ段ボールは30箱くらいで」てなことを言うので、私は「えっ?」と聞き返してしまった。

というのも、4年前にこの部屋に引っ越してきたときは、たしか本+CDだけで50箱くらいあったのだ。そのときは勤務先の都合による引っ越しで、運送業者の手配も費用も会社任せだった。「ここに必要な段ボールの数を書いて提出するよーに」と渡された紙に、おそらく必要と思われる数を記入して出したところ、総務から電話がかかってきた。

「50箱って書いてあるように見えるんですが」

「うん」

「多すぎませんか?」

「むしろ足りないんじゃないかと心配している」

「本当に50箱手配しちゃいますよ」

「してくれないと困るよ」

思わず聞き返してしまったのは、そんな会話をした記憶があったせいだ。

まあ、足りなきゃ箱を追加してもらえば済むのだが。

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2004-09-17

なんとか小説も読めるようになった

とはいえ翻訳ものは少々きついようで、まずは国内作家のものから。

ところで、読めない状態から回復できた理由として思い当たるのは、職場の事情だ。

職場での私は、互いに関連のない複数のプロジェクトに同時に携わっている。そのひとつが、ソフトウェア開発でいえばデスマーチに相当するようなモノだった。

その負担に引っ越し準備も加わって、心身の余裕をなくしていたようだ。

さいわい、同時進行中の他の仕事まで巻き込まないうちに、問題のプロジェクトからは距離を置けるようになった。それが昨日。タスクがひとつ減っても忙しいことに変わりはないが、他の仕事はまともに動いているのが救いではある。

もっともホンモノのデスマーチといえば、心を病んでしまったり、ひどいときには命を落とす人までいるわけで、私の経験などとは比べものにならない。絶望感に満ちたノワールの背景には向いてるんじゃないかと思う。

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2004-09-14

疲れている

本を読もうとしても、目は文字を追っているのに内容が頭に入ってこない。田口俊樹訳のローレンス・ブロックがそんなに読みづらいものとは思えないのだが。

不思議なことに、ノンフィクションならばなんとか読める。どうにか読み終えた松本仁一『カラシニコフ』は、政府が機能せず治安が崩壊したアフリカの国々の現状を映し出す良書。

ISBN:4022579293

第一章で語られる、子供たちまで兵士として動員されるシエラレオネやリベリアの内戦の現状が実に凄惨。

そういえば、今回の「このミステリーがすごい!」大賞の一次選考通過作品の中にも、リベリア内戦を題材にした作品があった。二次以降はどうなるかなあ(2005-12-24追記:残念ながら落選)。

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2004-09-12

そういえばこちらには書いていなかった。

ここのところ本の整理なんぞに没頭しているのは、もうすぐ引っ越すからなのだが、

その理由は結婚。

そんなわけで、今日もその準備や打ち合わせなどの用事で一日が過ぎていった。相手のひともそうだが、少々疲れ気味である。

夜は慶応推理研方面の人たちと軽く飲む。

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