2004-06-04

そういえば

例の法案の出所は「文化」庁だったか。

愛情省はそれこそ恐怖の存在であった。(ジョージ・オーウェル『一九八四年』)

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2004-06-03

「このミステリーがすごい!」大賞の

一次選考の原稿を発送しましたよ、と連絡をいただく。本数はかなり多いようだ。

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馬鹿★テキサス

ASIN:415174701Xベン・レーダー / ハヤカワ・ミステリ文庫

馬も四本足、鹿も四本足。そしてこの本に出てくる最高の馬鹿も四本足。正確には二本足の馬鹿が二人。

舞台はテキサスの田舎。冒頭、馬鹿コンビが鹿を撃つ。ところが獲物を検分してみると鹿じゃなかった。鹿の着ぐるみを着て鹿の観察をしていた動物学者だったのだ。これが事件の幕開け。最初から馬鹿エンジン全開だ。

いい奴と悪い奴、そして馬鹿な奴が出てくる。いい奴が悪い奴の犯罪を暴くという内容だが、物語を前に進めるのは馬鹿な奴らだ。馬鹿な奴らがやらなくていいことをやったり、やるべきことをやらなかったりして、いろんな物事が狂ってゆく。

もちろん、これは悪い奴が懲らしめられる話だ。だから、無事に一件落着する方向に収束してゆく。おさまりのつかないまま暴走してゆくのも面白いけど、そうなると人には薦めにくい。でも、これなら安心だ。

落ち着くべきところに落ち着くとはいえ、収束のしかたはずいぶんマヌケだ。なにしろ悪い奴らは、馬鹿な奴らのせいで実にマヌケな仕打ちを受けるのだから。

原題は”Buck Fever”。邦題は「馬鹿フィーバー」でもよかったのに……と思ったけど、早川書房の中の人があんまりだと思ったのだろう。ふざけた本を出版してるけど、きっと根はまじめな人たちに違いない。

残念ながら馬は登場しない。これは鹿ミステリなのだ。アメリカの作家に、漢語の字面にまで配慮を求めるのは無理というものだ。

馬鹿ミステリを所望の方はディック・フランシスあたりを併読するといいだろう。

追記:早川書房の中の人によると、この邦題は『パリ、テキサス』を意識したらしい。馬鹿はパリだったのか……

2008/01/03追記:そういえば同じ早川書房の『CLAW 爪』の帯には「猛虎襲来」と書いてあったけど、あれはもしかして「蒙古襲来」をイメージしたのだろうか。何となく同じ思考回路の産物のような気がする。

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2004-05-25

横溝正史ミステリ大賞贈呈式

様子は、会場で「なんでここはビールが少ないんだよう」と悲しんでいた杉江松恋さんのレポートに詳しい。氏の名誉のためにつけ加えておくと、暴れたりものを壊したりはしませんでした。

受賞したのはこの2作品。

大賞『風の歌、星の口笛』村崎友
ISBN:4048735403
優秀賞『みんな誰かを殺したい』射逆裕二
ISBN:404873539X

大賞受賞の村崎友とは、実は学生のころにミス連で付き合いがあった。ここ数年は疎遠だったけれど、こんなふうに再会できるというのは嬉しいものだ。

式の後は、飲み足りなかった人々が集まって中華の店で二次会。

なんだか川出正樹さんとしきりに【自主規制】の話をしていたような気がする。といっても、受賞作に【自主規制】が描かれていたわけではない。『迷宮の暗殺者』が激烈な【自主規制】ミステリーだったのだ。

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2004-05-21

で、今日は

荊の城 を読む。年端も行かぬ娘さんにあんなことやこんなことをさせてしまういけない小説で、上下2冊を一息に読んでしまった。結末はとってもキュート。『犬は勘定に入れません』が清く正しい表ヴィクトリア朝小説とするなら、こちらは汚れた邪悪な裏ヴィクトリア朝小説だ。

ああ、もうこんな時間に……。

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2004-05-20

いろいろやらなきゃいけないことがあったのに、

犬は勘定に入れません』を読み始めたのが運のつき。二段組500ページ超を一息に読んでしまった。ああ、どうしよう……。

ISBN:4152085533

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2004-05-19

バーディンな一日

死を呼ぶペルシュロン』はなんだか困ってしまう話だった。

思わず『殺意のシナリオ』も読み返す。

ISBN:479492741X

ISBN:4093565813

『悪魔に食われろ青尾蝿』も読み返そうと思ったけど、部屋のどこかに埋もれていて見つからない……

ISBN:4881357379

そんなバーディンな一日でした。

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2004-05-18

木曜日に生まれた子ども

ISBN:4309204066

なかなかいい話。地底の描写はあまり出てこないけど、素敵な地底小説だ。穴好きの人におすすめ。

ところで「いたちごっこの様相を呈する韓国の海賊版ソフト摘発」(http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20067244,00.htm)がなかなか壮絶なことになっていて、つい笑ってしまった。ここまでするくらいなら、普通に買ったほうが結局はコストを抑えられるんじゃないか? もはや意地の問題になってるような印象を受けた。

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2004-05-17

『奇術師』を読む

ISBN:4150203571

私が好む小説は「いかがわしさ」を抱え込んでいるのだ、と改めて感じた。

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2004-05-16

勢いでこんな本を買ってみた。

ISBN:1840463872

表紙は違っているけれど、20年近く前に流行ったゲームブックの一冊、『火吹山の魔法使い』である。かつて教養文庫で邦訳が出ていた。ちなみにこの本は浅羽莢子訳。当時は西洋風異世界ファンタジーというものが今ほど浸透していなかったからだろうけど、カタカナを極力使わず、武器や怪物の名前も極力日本語にしていて、独特の雰囲気を作り上げている。

http://www.fukkan.com/bookhist.php3?no=343 によると、日本でも、扶桑社から復刊の予定があるらしい。そういえば、東京創元社から刊行されていたゲームブックの何冊かは、すでに創土社から復刊されている。

そういえば松坂健さんにお会いしたときに、このシリーズの翻訳の話を聞かせていただいたことがある(松坂さんは『運命の森』ほか数冊を訳されている。『サムライの剣』なんて珍品も)。すべての分岐を図にまとめたりと、通常の本とは違う苦労があったそうだ。

……とここまで書いてから検索してみたら、「冒険記録紙」というサイトを見つけた。

※追記:その後『火吹山の魔法使い』は無事復刊された。

ISBN:4594049095

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