2004-05-15

倉庫に預けるため

部屋にあふれる本をに詰めている。が、途中で「そういえばこんな本も持っていたな」と読みふけってしまうので作業が進まなくて困っている。

で、そうやっているうちに、霞流一とクレイグ・トーマスには「題名に動物の名前を入れるのが好き」という共通点があることに気づいた。「クレイグ・トーマスはイギリスの霞流一」とか書いておくと、バカミスに飢えたうっかりさんが『闇の奥へ』なんかを手に取ったりしないかなあ。無理か。

ちなみに共通して使われている動物は、

  • 虎(『スティームタイガーの死走』『ジェイド・タイガーの影』)
  • 狐(『フォックスの死劇』『ファイアフォックス』)

……なんてことをして遊んでるうちに、小説すばる新人賞下読み第二弾の段ボール箱が。

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2004-05-13

『これだけは知っておきたい名作ミステリー100』

本が届いた。

ISBN:4901722301

ミステリーの定番100冊を紹介するブックガイドで、私はそのうち4本だけ執筆した。

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2004-05-12

それはさておき、

馬鹿★テキサス』は馬鹿馬鹿しくて楽しい話である。馬は出てこないけど(しつこい)。

夜は新宿へ。上京中の池上冬樹さん、第十回創元推理評論賞を受賞された中辻理夫さん、吉野仁さん、杉江松恋さん、霜月蒼さん、ほか編集者の方々。中辻さんとは初対面。

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2004-05-11

ところでWinnyに何か深い思い入れがあるわけではなく

京都府警の【挑発的記述につき自粛】や、レコード会社の見苦しさが妙に記憶に残ってしまったのである。

その後Winny紹介ページの開設者も家宅捜索を受けたらしいが、http://www.jbook.co.jp/product.asp?product=2335636 の版元は大丈夫だろうか。

そういえばこの版元と同じグループのソフトバンクBBが来春新卒3000人を採用、なんてニュースを目にした。現在の従業員は1800人だとか。そんなアンバランスな人数構成を見ると、自分が就職活動をしていたころ(うわあもう9年前か)の、あの不穏な企業の記憶がよみがえる。

あの企業も、従業員と採用予定人数の比率は似たようなものだった。ソフトバンクBBに比べれば、従業員数も採用人数も桁がひとつ小さかったけど。世間知らずの学生ですら不安を覚えるバランスの悪さのせいか、就職活動の対象としての関心は皆無であったにもかかわらず、社名だけは覚えてしまった。

翌年。ニュースでその企業が倒産したことを知って「やっぱり……」と思ったものだった。

ちなみにその社名は「日本ビデオ販売」。

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2004-05-10

音楽産業とか

http://www.asahi.com/tech/asahinews/OSK200405100029.html を読んで、匿名性の高いネットワークは、「挑発的態度」だけで逮捕されてしまうような抑圧的な社会においてこそ有用かもしれない……と思った。

ところで関連記事を読んでいると……

容疑者は開発したWinnyを02年5月上旬からホームページで無料配布。

(http://www.asahi.com/tech/asahinews/OSK200405100018.html )

日本音楽著作権協会(本部・東京)によると、Winnyの登場でレコード会社などはかなりの痛手を被っていたとみられるという。レコード会社の総生産額は毎年減り続け、98年に比べて03年は約3分の2の4千億円に落ち込んでいる。

(http://www.asahi.com/tech/asahinews/OSK200405100025.html)

ってことは、1998年から2001年にかけての減少はWinnyとは関係ない。2002年以降にしても、http://www.riaj.or.jp/issue/record/2004/200402.pdf のp.5に載ってるきれいな没落ぶりは、素人の目には「ここ数年の傾向がそのまま続いてるだけ」に見えてしまうのだが。

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2004-05-08

横浜近辺で職場の人たちと飲んでいたはずが、

目が覚めたらチバ・シティ。本来は東京駅で乗り換えるはずが……久々に寝過ごしてしまった。

ファミリーレストランで時間を潰し、始発電車に乗って帰った。空はTVの空きチャンネルの色どころか、まだ真っ暗だった。

始発を待ちながら読んでいたのはスティーヴン・マーティン・コーエン『マンハッタン市街戦』。中東のテロリストがニューヨークで破壊活動を行う物語が、まだ絵空事だった時代の小説だ。

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2004-05-06

連休明け

連休は新人賞下読みやらミステリマガジン書評やらに費やしたので、今のほうがむしろのんびりした気分で過ごせそうだ。

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2004-05-05

あるところでデイヴィッド・ピースが

「デビピ」と略されているのを見て、ひっくり返りそうになった。

http://www.hayakawa-online.co.jp/noir/noir5.html

で、馳星周と握手してるのが問題のデビピだ。でびぴ。でびぴぴぴー。

 ちなみにロス・マクドナルドは「ロスマク」と略されることがあるが、この背景には日本の特殊な事情──みなさんもご存じの「マクドナルド短縮問題」が絡んでいる。

 日本のような同質性の強い社会では、きわめて小さな差異が、時として暴力を伴う激しい対立のきっかけになりかねない。過激派のいわゆる「内ゲバ」はその一例だ。ファストフード店の呼称のような些末な問題も、日本では地域対立の火種になりかねない。対立する2派──全国的な展開を図るマック派と、近畿地方を中心に熱烈な支持層を獲得しているマクド派の確執は根が深く、和平への道のりは遠く険しい。今の日本は、自衛隊を海外に派遣している場合ではないのかもしれない。

 このデリケートな問題が、ロス・マクドナルドの短縮形を規定した──「マクドナルド」の一部分にファーストネームの「ロス」をつけて「ロスマク」。ハマコーやキムタクと同じ、日本人になじみやすいカナ四文字分の短縮形である。

 短縮形を制定した人々の知恵が結晶したのが、後半の「マク」である。濁音を排除するマック派の教理に合致するだけでなく、マクド派が神聖視する文字列抽出条件「左からn文字をそのまま用いる」をも同時に満たしているのだ。これは、新村出による「広辞苑」の序文(正かなづかいと新かなづかいの両方に合致)以来の偉業ではないだろうか。

 もちろん、これはマクドナルド短縮問題そのものの解決を意味しない。問題を先送りしただけの日本的な方策だ、といってしまえばそれまでだ。だが、ハードボイルドという分野が、政治的な闘争で疲弊することを防いだ先人の叡知には、一定の評価が与えられてしかるべきだろう。これが「ロスマック」や「ロスマクド」だったら、今ごろ日本はどうなっていたことか、想像するだけでも背筋が冷たくなる。

 また、こういう特殊な事情が生んだ短縮方法なので、他の作家に適用するには注意が必要だ。例えば、マックス・アラン・コリンズをマッコリと呼ぶのは慎むべきだろう。たとえマッコリが美味であったとしても。また、アントニー・バークリーをアンバクと略すのも好ましくない。アンドリュー・ヴァクスと誤認する危険がある。ロジャー・シェリンガムは前科27犯のアウトロー探偵ではないのだ。

 ……と妄想を書き連ねるのはそろそろ止めておこう。それはともかく「ブラピ」とか「デビピ」みたいな縮め方はどうも馴染めない。AdobeのIllustratorが「イラレ」になったり、Powerpointが「パワポ」になったりするのも苦手。だいたい「ぱわぽ」なんて、「だめぽ」とか「ぬるぽ」みたいではないか。

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2004-05-04

ミステリマガジンの書評など。

デイヴィッド・ダン『鷲の眼』は2003年の作品で、悪役はフランス企業。時流に乗った結果、なのだろうか。アメリカ企業でも差し障りなさそうな気がするのだが(ちなみに構成が雑なので、あまりオススメしません)。

18世紀ヨーロッパが舞台の『迷宮の舞踏会』はじっくり読みたい小説。一ヶ月くらい新刊のことなんてまったく気にしないで、こういう濃厚な本をずーっと読んでられたら、なかなか幸せな気分が味わえそうだ。

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2004-05-03

小説すばる新人賞の下読み。

こういう新人賞の応募原稿については「下読みの鉄人」(http://www.sky.sannet.ne.jp/shitayomi/)という優れたサイトがあるので、今さら私が何か言うことなんてない。

……と言いつつ書いてしまうのだが、原稿を印刷する時に、体裁には気を配るに越したことはない、と思う。

今回いちばん読み辛かったのが、原稿用紙の升目に合わせて20字×20行で印刷された原稿だった。文章自体は普通なのに、体裁が体裁なので字面を追うだけでかなり疲れてしまった。

字面を追うだけで消耗してしまうと、いいところがあっても見落としてしまうことだってあるかもしれない。そうなってしまっては実にもったいない。

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