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そういえば『ノドン強奪』『自爆政権』あたりはかつて読んでいたのだった。すっかり忘れていた。考えてみれば、熱狂的に人に薦めこそしないものの、ごくふつうに楽しく読める本だった。
そんないい思い出を吹き飛ばすくらいに「ネットフォース」がアレだったということか。同じクランシー&ピチェニックの作品なのに。
読了。図書館とか本をネタにしていると、ついつい好意的に見てしまう。これが私だけの現象ではないことは、『死の蔵書』の人気を見ても分かる(あれが古本と無関係な話だったら、あんなに高く評価されただろうか?)。
小さな町の図書館を舞台に、いわゆる「日常の謎」を扱った連作短編集。「心温まる」といった言葉で形容されがちな分野だけれど、実のところこういうタイプの作品こそ悪意の描き方が重要じゃないかと思う(『空飛ぶ馬』なんて、そのあたりが実に巧妙)。苦味があってこそ甘みも引き立つわけで、「みんないい人でした」という話が続くと少々だれてくる。
で、これも基本的には「みんないい人」な話。それは少々物足りないけれど、他愛ないエピソードからだんだん深刻な話へ、という排列の順序はよろしいんじゃないかと思った。
気になったのだが、「本好きが本の話をする」小説があるのだから、「映画好きが映画の話をする」映画もあるのだろうか。映画には疎いので、思いついたのは『スクリーム』くらい(でも、あれはあれで、「本好きが本の話をする」小説の映画相当とは微妙に位置がずれているような)。
そんなことを考えるうちに、上の疑問とは関係ないけれど、ふと思い出したのがヴィルジニ・デパントの名作『バカなヤツらは皆殺し』。
作中、ジェイムズ・エルロイを愛読する男が登場して、エルロイのことを話したりする(ヒロインはポルノ以外の本なんて読まないはずなのに、なぜかエルロイのことを知っているのだ)。
この小説は後に映画化された。えらくヴァイオレントな内容なので、フランスではけっこう騒ぎになったそうだ。
あのシーンはどうなったんだろう、と気にしながら見ていたら……あからさまにサム・ペキンパー風味の流血暴力映像に置き換えられていたので、思わず笑いそうになった。適切な映画化ですね。
これから読むもの・読み直すもの