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ポプラ社の全20巻セットを購入した。文は南洋一郎。原典からの大胆な改変が多いので、「訳」ではなく「文」になっている。
その巧妙な改変を絶賛したのが、瀬戸川武資「南洋一郎は天才ではないだろうか」。この文章、セット中の『古塔の地下牢』に解説として載せられている(巻末には「創元ライブラリ『夢想の研究』より」とあったけど、これが収録されてたのは『夜明けの睡魔』じゃなかったっけ)。
たしかに南洋一郎が手を加えたことがプラスに働いているケースも多いけれど、常にいい結果をもたらすとは限らない。
たとえば『バーネット探偵社』をもとにした『ルパンの名探偵』。無料で調査を請け負う私立探偵バーネット(正体はルパン)が、事件を解決するついでに関係者から巧妙に金品を巻き上げてしまう連作短編だ。謎解きに加え、バーネットがいかにして利益を得るかという、二段構えの構成を取っている。
原作でのバーネットは、悪辣な手口も駆使してモノを手に入れるのだが、『ルパンの名探偵』ではそのへんの容赦のない描写が多少抑えられている(慈善団体に寄付する描写を付け加えたり、あるいは「盗み」の描写そのものを省いたり)。子供向けだから、という配慮だろうけど、原作の毒が薄くなっているのも事実。
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