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題名が似てるけど、エラリイ・クイーンの初期作品じゃありません。念のため。
主人公は口八丁のジョニーと筋肉男のサム。二人の商売は本のセールス。野次馬相手にサムが筋肉をアピールして、ジョニーがあなたもこんなマッチョになれる! とあやしげなハウツー本を売りつけるのだ。それなりに本を売って稼いでいるはずなのに、なぜかふところの寒さに悩んでいる。そんなコンビが殺人事件に巻き込まれる愉快なミステリ。
のっけから事件のまっただ中。話は軽快に進行してゆく。まちがっても「20世紀アメリカミステリの金字塔」みたいな大げさなモノではないけれど、主人公コンビのやりとりに、おバカなエピソードの数々、そしてシビアな金勘定(なにしろ宿泊費が払えなくてホテルを閉め出されるところから始まるのだ)が楽しい。
そんなわけで内容については大いに満足。
が、帯の「アメリカ版“フーテンの寅さん”」にはかなり違和感を覚える。この小説は別に下町の人情とか、そういうものは描いていないのだが。むしろ、そういうものとはかなり離れたところに位置していると思う。
そもそも両者の共通点って、
「男はつらいよ」の第一作でも寅さんは本のタンカ売りをやっていた(訳者あとがき、p.222)
だけでしょ? それは二人組だから「アメリカ版PUFFY」ってのと大して変わらないような気がする(任意のデュオに置き換え可)。
フランク・グルーバーの著書であることに価値を見いだす人はともかく、「寅さん」的なものを求める人は裏切られるし、あのシリーズが苦手な人は遠ざかってしまうし、なぜあんなことを帯に書いたのか理解に苦しむ。
これから読むもの・読み直すもの
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