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2006/06/09 (金)

[読了]悪魔の栄光 / ジョン・エヴァンズ

悪魔の栄光(ジョン エヴァンズ)

私立探偵ポール・パインの一人称で語られるハードボイルド。

クライマックスから無常感漂うラストまで。

黄金時代の名探偵ばりに、関係者一同を前にパインが真相を解き明かすクライマックス。犯人を指摘する瞬間の大爆発が忘れがたい。理性と暴力とが奇妙な融合を見せる。

ここに炸裂するのは、チェスタートンばりの意外性だ。大胆な仕掛けと、それを支える思考様式。ギリギリのところまで踏み込んだ伏線。いわゆる本格ミステリ的なものの見方によって作られている。

その爆発を演出する筆致は、まさにハードボイルド。饒舌に語るのではなく、言葉の余白に緊張を漂わせる。

「これで演説は終わりだ。ごきげんよう、警部補」

謎解きは終わっても、物語が終わるまでにはもう少し間がある。

ずっと非情なスタイルを貫きながら、最後の2ページだけはエモーショナル。喪われるものへの感慨がにじみ出す。前作『血の栄光』の酷薄さとは全く異なる印象で、まさしく「かつての王国に帰還できなかったアル・カポネへの鎮魂歌」(解説・法月綸太郎)だ。とはいえ感情を暴発させるわけではない。あくまでも抑えたまま、最後の一行へと着地する。

全部で250ページ強。それほど長いわけではない。だが、密度は濃い。

これまで
[入手本]2006/06/05 (月)
[読書中]2006/06/07 (水)
[読書中]2006/06/08 (木)

[読書中]渋く、薄汚れ。 / 滝本誠

渋く、薄汚れ。―ノワール・ジャンルの快楽(滝本 誠)

情動に訴えかけるようなフィクションを、煽動力の高いレトリックを駆使しながら理知的に語る。理と情の緊張感が心地よい……のはいいけど、つい煽られて闇雲に洋書を買ってしまいそうで怖いです。

これまで
[入手本]2006/05/31 (水)

突発的に飲みに行きました

職場にて、そろそろ帰ろうかな……と思っていたところに電話が。恵比寿で飲んでるけど来ない? とのお誘い。さっそく行って、えらく濃密にミステリの話をして帰ってきた。

[入手本] ママは悪魔ハンター / ジュリー・ケナー

ママは悪魔ハンター(ジュリー ケナー)

帰ってきたら届いていました。どうもありがとうございます。

ヒロインはカリフォルニアに住む、二人の子を持つふつうの主婦。だが、実はバチカン法王庁で育てられ、悪魔退治の技法を身につけたデーモンハンターなのだ!!

……という楽しげなお話。作者はハーレクインでロマンス小説を書いている人。けっこう多作のようだ。

その後
[読書中]2006/06/19 (月)

[入手本] 果樹園 / ラリイ・ワトスン

果樹園(ラリイ・ワトスン)

こちらも送っていただいた本。どうもありがとうございます。

りんご園を営む若い夫婦と、高名な画家とその妻。二組の夫婦が織りなす濃密なドラマを描いたものらしい。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

♪akira [先日は突発的にお誘いしてすみませんでした。とても楽しかったです!ぜひ次回の某オフにもいらして下さいませ(^^)。]

ふるやま [♪akiraさん 私も、楽しい時間を過ごすことができてよかったです。次回もぜひまいります。]


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