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旅行から帰ってきて、気づいてみれば風邪気味。飲みに行く予定だけはキャンセルしたくなかったけれど、熱が38度とあってはそうもいかない。
そんなわけで連休後半は、はなはだ不本意ながら寝込んで過ごすことに。
モンティ・パイソンのギャグについて、どこがどのように面白いのかをこまめに論じている。結果として、不粋で退屈な本になってしまっている。
たとえば、BBCがスコットランドの偉大な詩人、ユアン・マクティーグルを紹介するスケッチについては……
このスケッチが示しているのは、詩作の創造的な側面ではない。ここにあるのは、有名人が賞賛されがちな事実、「高尚な」文芸世界の平凡製、そしてテレビで芸術作品や芸術家を持ち上げておきながら、作品そのものに関する分析は巧みに避けるテレビ出演者の姿である。
いやそうかもしれないけど、そんな説明されて何か嬉しいですか?
とはいえ、かの「スペインの宗教裁判」には手も足も出なかったようで、「常識がナンセンスになっている」と言うのにとどまっていたりする。
新刊評など書くときにはこんな風にならないように気をつけなければ、と自戒しながら読んだ。人は寝込んでいるとネガティヴになるものである。
アメリカのNSA(国家安全保障局)を舞台にした暗号解読のお話で、著者のデビュー作。
内容はともかく、暗号とコンピュータに関する記述はツッコミどころだらけ。1998年ならこういういいかげんな記述でも通用したのかもしれないが、さすがに2006年にこれでは厳しいだろう。
上巻をざっと眺めただけでも……
……といった具合。説明が煩雑なものやネタばらしになりそうなものは省いたが、中には話の根幹を揺るがすものもある。
IT産業の人は、間違い探しをしたり、作中のNSAのシステムを設計した奴がどういう間違いをしでかしたかを考えてみる、という楽しみ方ができる。
よりによってミステリマガジン書評用。
同名映画の原作。ファシズムが支配するイギリスを舞台に、仮面のテロリスト・Vの戦いを描く。ダブル・ミーニングとねじくれたユーモアに支えられた、陰謀妄想の物語だ。
イギリスを支配しているはずのリーダーだが、作中での存在感は希薄。この作品における最大の偶像はVに他ならないので、この描き方は正解だろう。これは単純明快な二項対立の物語ではないのだ。
異常なオブセッションに駆り立てられるように破壊を続けるVの姿に、『ウォッチメン』のロールシャッハを思い出した。『ウォッチメン』は本書と同じくアラン・ムーアの手になるコミックで、抑圧的な体制になったアメリカが舞台。政府を無視して我が道を行く自警団的ヒーローとして描かれるのがロールシャッハである。
ともあれ、一度読んだだけでは読み切った気がしないタイプの作品である。
これから読むもの・読み直すもの
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