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2006/06/03 (土) [長年日記]

[読了]カレンの眠る日 / アマンダ・エア・ウォード

カレンの眠る日(アマンダ・エア ウォード)

三人の主人公の運命。その三本の流れが一本に合流する後半の盛り上がりは圧巻。三人の中でひとりだけ一人称文体で書かれているのも、読み終えてみれば納得(アレを三人称でやってくれれば……と思うところもあるのだが)。ミステリとは性質の異なる物語だが、よくできた小説である。読書好きでよかったと思えるのは、こういうものを読んだときだ。

ちなみに、死刑囚のカレンは獄中で『百年の孤独[amazon.co.jp]』を読んでいる。この本の使い方もけっこうイイです。

これまで
[入手本]2006/05/28 (日)
[読書中]2006/05/31 (水)
[読書中]2006/06/02 (金)

[読了]ベータ2のバラッド / 若島正・編

ベータ2のバラッド(サミュエル・R. ディレイニー)

プリティ・マギー・マネーアイズ / ハーラン・エリスン

ラスヴェガス。最後の1ドルをスロットマシーンに放り込み、レバーを引いた男の運命は……? 孤独な男と孤独な女が思いもよらない形で出会うさまを、熱狂を煽りたてる文体で語る。花火のように鮮やかな、かっこいいギャンブル小説。

ハートフォード手稿 / リチャード・カウパー

H・G・ウェルズと親交のあった大叔母が「私」に遺した本には、信じがたい内容の手稿が挿まれていた……。語り手に手稿を遺すヴィクトリア叔母さんは最初の数ページに登場するだけだが、その人物像はしっかり心に残る。丁寧に書かれた文章の技。

そんなわけで綺麗にまとまった一品である。でも、どうしてこのアンソロジーに……? と編者あとがきを見れば、

それはカウパーに対する個人的な思い入れがあるからで、それについては拙著『乱視読者の新冒険』(研究社)に書いたことがあるからここには繰り返さない。

だそうだ。そんなわけで『乱視読者の新冒険』を読み返す。末尾に収められた「リチャード・カウパーのために」……そう、思い出した。読書好きにとってはきわめて強烈な経験が綴られた文章である。これを読むと、思い入れでカウパーを載せてしまうのも仕方ない、と思う(私自身は、この文章に書かれているような「すべてがパターンの中にはまり込むという感覚」を経験したことがない)。

ちなみに編者あとがきにはもう一つの理由として、ニュー・ウェーヴを英国SFの伝統の延長に位置づけようとする考えが述べられている。が、少なくとも私にとっては最初の理由で十分だ。編者の嗜好がもたらす偏りもまた、アンソロジーの魅力なのだから。

時の探検家たち / H・G・ウェルズ

「ハートフォード草稿」に関連して収録された、『タイムマシン』の原型になったという短編。もっとも、時間旅行というアイデア以外は全くの別物である。小さな村に引っ越してきた異貌の男。彼の住む館の周囲では奇妙な現象が……という前半はまるで怪奇小説(私はラヴクラフトの「チャールズ・デクスター・ウォードの奇怪な事件」を連想した)。いよいよこれから、というところで終わってしまうのが非常にもどかしい。

これまで
[入手本]2006/05/31 (水)
[読書中]2006/06/01 (木)

[読書中]乱視読者の新冒険 / 若島正

乱視読者の新冒険(若島 正)

かくして脱線中。

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