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左創作は、小説講座の講師を務める中堅ミステリ作家。講座の場では、文章からその作者の性別や年齢、職業などを突き止める芸当を披露する……と、文章をプロファイルする探偵が登場する本格ミステリらしい。
冒頭から、さっそく文章プロファイルの様子が紹介される。シャーロック・ホームズが依頼人のことをあれこれ言い当てるような感じですね。
銀河人類学を学ぶジョナニーは、失われた星間移民船について調査することになった。船に伝わる歌には、その秘密が隠されていた……
ディレイニーにしては極めてシンプルな話で、筋運びも直線的。謎解きの要素も、過去の記録を掘り返すことで片づいてしまう。厚みのもたらす華麗さには欠けるものの、「物語を伝えること」に対するストレートな喜びが漂うところに魅力を感じた。
バロウズ風味(ウィリアムのほう)の実験小説。最初から飛ばしてます。
一九九〇年に着手された地図作製用の衛星測量で、地球にはそれまで探検家や地図作成者が見逃してきた未発見の地表面がかなりあることがあきらかになった。
もっと前に気づかないのか……。
どんな地図でも、隣り合った領域の色が重ならないように塗り分けるには四色あればよい──という、当時未解決だった数学上の難問をネタに展開する。なんだかサンリオSF文庫の裏表紙を読んでるような感じ。
ナチズムが支配する英国を舞台に描く、重厚なサスペンス。『SS-GB』とか『英国占領』などと同じ系統の作品だ。それらより遙かに短いものの、「ナチズムのある日常」がじっくりと描かれている(ドイツ語の多用に頼っているところもあるけれど)。
伝統的な小説としての読み応えは、今のところこの作品がベスト。もっとも、そういう観点で前の2編と比べることにあまり意味があるとは思えない。
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これから読むもの・読み直すもの
● ヨルノユキ [10年ほど前、海外へ留学する友人への餞に何冊か本を贈ったことがあります。そのときにミステリではポケミスの『怪盗ニック..]
● ふるやま [ああ、それは楽しいセレクションですね。「怪盗ニック」も、とても密度の濃いシリーズですし。 『暴徒裁判』のあの犬は、ラ..]
● ヨルノユキ [今回新訳を読んで、「ラストシーンのアレ」を全く忘れていたことに気づきました(記憶力やばい)。心に残るシーンってのは人..]