【日常】
▼ 2009/11/27(金) 蔵書仕分け
【日常】
日々報じられる事業仕分けの様子を見ながら連想しているのが、手元の本の整理である。
本というものはいつの間にか増殖しているもので、居住空間の維持のためにもどこかで削減しなくてはならない。これはきっと再読するから残しておこうとか、この作家のものはもういいや処分してしまえとか、この作家の本が入手難になることは当面なさそうだから手放してよかろうとか、日々ひとり行政刷新会議を続けている。
事実上凍結されたはずのスーパーコンピュータ開発予算が科学者からの抗議によって「見直し」となったように、いったん処分すると決めた本を、逡巡したあげく「やっぱり……」と本棚に戻してしまうこともある。私は誰かに抗議される前に方針転換しているので、これに関しては鳩山政権に勝ったと称しても差し支えないだろう。
ただし、勝っても部屋はなかなか片づかない。あちらの事業仕分けの対象が、騒いでいるわりには予算全体に占める比率がきわめて小さいのと同じように、私が整理できたのも氷山の一角に過ぎない。改革への道のりは遠い。
本というものはいつの間にか増殖しているもので、居住空間の維持のためにもどこかで削減しなくてはならない。これはきっと再読するから残しておこうとか、この作家のものはもういいや処分してしまえとか、この作家の本が入手難になることは当面なさそうだから手放してよかろうとか、日々ひとり行政刷新会議を続けている。
事実上凍結されたはずのスーパーコンピュータ開発予算が科学者からの抗議によって「見直し」となったように、いったん処分すると決めた本を、逡巡したあげく「やっぱり……」と本棚に戻してしまうこともある。私は誰かに抗議される前に方針転換しているので、これに関しては鳩山政権に勝ったと称しても差し支えないだろう。
ただし、勝っても部屋はなかなか片づかない。あちらの事業仕分けの対象が、騒いでいるわりには予算全体に占める比率がきわめて小さいのと同じように、私が整理できたのも氷山の一角に過ぎない。改革への道のりは遠い。
▼ 2009/11/24(火) ペイン
【映画】
部屋で自慰にいそしんでいる男の姿。別室には、転がる酒瓶と、床に倒れた寝巻姿の人物。母親だろうか。男に抱き起こされて、部屋へと引っ張られていく……
という冒頭から、主人公の男が置かれたダメな境遇が容赦なく描かれる。
だいぶ前に「これはバカミスだ」とオススメされた映画。(せっかくすすめていただいたのに、見るのがずいぶん遅くなってしまいました。ごめんなさい)
このダメ境遇の青年、向かいに住む美女の部屋をこっそり覗いていたのだが、ふとしたことからその美女と親しくなる。ところがある晩、ベジタリアンのはずの彼女が肉をむさぼり食う姿を目にしてしまう……。そんな主人公と彼女の関係だけでなく、どこか病んだ家族の様子、誘拐犯らしき人物との遭遇……と、いくつかの事件が併走し、互いに影響しながら主人公を混迷へと追いやっていく。
現実と妄想の境が崩れて主人公の正気が失われていく過程に力を入れていて、謎の解決はおおむね乱暴な投げっぷり。だが、ひとつだけ後半に強烈な驚きが仕掛けられていた。このネタだけは、しっかりと伏線が張られていて、絵としての衝撃も大きく、劇中で最もびっくりさせられた。
ただしこの衝撃、別になくても人物描写やストーリーが行き詰まるわけではないのですね。かくして、なんでそんなところに凝るんだ? と驚きながらも呆れることに。物語内での位置づけからすると過剰なまでのインパクト……という点では、ジャック・カーリイ『百番目の男』のアレみたいだ。
こういうバランス配分を誤った作品、人には薦めないが好きである。
という冒頭から、主人公の男が置かれたダメな境遇が容赦なく描かれる。
だいぶ前に「これはバカミスだ」とオススメされた映画。(せっかくすすめていただいたのに、見るのがずいぶん遅くなってしまいました。ごめんなさい)
このダメ境遇の青年、向かいに住む美女の部屋をこっそり覗いていたのだが、ふとしたことからその美女と親しくなる。ところがある晩、ベジタリアンのはずの彼女が肉をむさぼり食う姿を目にしてしまう……。そんな主人公と彼女の関係だけでなく、どこか病んだ家族の様子、誘拐犯らしき人物との遭遇……と、いくつかの事件が併走し、互いに影響しながら主人公を混迷へと追いやっていく。
現実と妄想の境が崩れて主人公の正気が失われていく過程に力を入れていて、謎の解決はおおむね乱暴な投げっぷり。だが、ひとつだけ後半に強烈な驚きが仕掛けられていた。このネタだけは、しっかりと伏線が張られていて、絵としての衝撃も大きく、劇中で最もびっくりさせられた。
ただしこの衝撃、別になくても人物描写やストーリーが行き詰まるわけではないのですね。かくして、なんでそんなところに凝るんだ? と驚きながらも呆れることに。物語内での位置づけからすると過剰なまでのインパクト……という点では、ジャック・カーリイ『百番目の男』のアレみたいだ。
こういうバランス配分を誤った作品、人には薦めないが好きである。
1: akira 『おお、やっとご覧になって頂けて良かったです! そうなんですよ、あの途中のビックリって意味無いんですよね(笑)。 私も『百番目の男...』 (2009/11/27 10:51)
▼ 2009/11/22(日) ミステリマガジンと年間ベスト
【ミステリ】
ミステリマガジン1月号と『ミステリが読みたい! 2010年版』が届いていた。
ミステリマガジン新刊評で取り上げたのは:
『ブリムストーンの激突』は簡潔なスタイルが魅力のウェスタン。『オッド・トーマスの受難』は作者得意の「ただ○○するだけ」のお話。『黄昏の狙撃手』はハンターの旧作に比べるとだいぶゆるい作品だが、難しいことを考えずに豪快にぶちかますスタイルもまた楽しい。
『ミステリが読みたい! 2010年版』は、類似の年末ベストとの差別化を図って、大幅に形式を変えている*1。取り上げる作品数も多い。
他の年間ベストに比べ、アンケート回答がきわめて面倒なので、回答者には主旨をよく説明した方がいいかも……と思っていたが、現物を見せた方が早そうだ。
ちなみに、あるマヌケ*2な理由により、私のコメントは載ってません。反省……。
ミステリマガジン新刊評で取り上げたのは:
- ロバート・B・パーカー『ブリムストーンの激突』
- ディーン・クーンツ『オッド・トーマスの受難』
- スティーヴン・ハンター『黄昏の狙撃手』(上)(下)
- ジャック・ミリエズ『人類博物館の死体』
『ブリムストーンの激突』は簡潔なスタイルが魅力のウェスタン。『オッド・トーマスの受難』は作者得意の「ただ○○するだけ」のお話。『黄昏の狙撃手』はハンターの旧作に比べるとだいぶゆるい作品だが、難しいことを考えずに豪快にぶちかますスタイルもまた楽しい。
『ミステリが読みたい! 2010年版』は、類似の年末ベストとの差別化を図って、大幅に形式を変えている*1。取り上げる作品数も多い。
他の年間ベストに比べ、アンケート回答がきわめて面倒なので、回答者には主旨をよく説明した方がいいかも……と思っていたが、現物を見せた方が早そうだ。
ちなみに、あるマヌケ*2な理由により、私のコメントは載ってません。反省……。
▼ 2009/11/21(土) OB会
【日常】
慶応推理研OB会。
なんだか学生の人数が多いのでびっくりした。ここ1~2年は「バブル」だそうで現役学生の人数も多いらしい。OB参加者も例年より少なく、若者の多い見慣れない風景だった。
現役の人と話していて今更ながらに実感したのが年代の差。
私がミステリを本格的*1に読むようになったのは綾辻行人がデビューした頃(あるいは島田荘司の推薦文がやたらと熱かった頃*2)なのだが、現在の学生ってその頃生まれたか生まれてないかくらいなのですね。
OBのみなさんは相変わらずだったが、おそらく年齢のせいもあって、往時に比べだいぶおとなしくなった。OB会の前に日本酒を何合も飲む、という風習が廃れたのも一因かもしれない。
なんだか学生の人数が多いのでびっくりした。ここ1~2年は「バブル」だそうで現役学生の人数も多いらしい。OB参加者も例年より少なく、若者の多い見慣れない風景だった。
現役の人と話していて今更ながらに実感したのが年代の差。
私がミステリを本格的*1に読むようになったのは綾辻行人がデビューした頃(あるいは島田荘司の推薦文がやたらと熱かった頃*2)なのだが、現在の学生ってその頃生まれたか生まれてないかくらいなのですね。
OBのみなさんは相変わらずだったが、おそらく年齢のせいもあって、往時に比べだいぶおとなしくなった。OB会の前に日本酒を何合も飲む、という風習が廃れたのも一因かもしれない。
*1 : ジャンルのことではない
*2 : 今でも福山ミステリー文学新人賞などの活動をされているものの、推薦する文章はかなり冷静に……