■ブリジット・オベール『死の仕立屋』
悪乗りするのがオベールである。デフォルメされた人物描写に、身も蓋もなく暴走するストーリー。この本も、そういうオベールらしさでいっぱいだ。ただし、ラストの破壊力は続編の存在を前提としているだけに、ほかの作品に比べると力不足。もっともこの作者の場合、続編が前作と同じような話になることは決してないのだが。
2004年6月の日記
悪乗りするのがオベールである。デフォルメされた人物描写に、身も蓋もなく暴走するストーリー。この本も、そういうオベールらしさでいっぱいだ。ただし、ラストの破壊力は続編の存在を前提としているだけに、ほかの作品に比べると力不足。もっともこの作者の場合、続編が前作と同じような話になることは決してないのだが。
ヒドイ話である。何がどうヒドイのかまったく説明できないのが残念だ。
趣向そのものは珍しくないけれど、その仕掛けを成り立たせるための演出が凄惨。実にイヤなイメージが後を引く。強いて言えば、マドンナメイト文庫における友成純一のスプラッタ小説みたいなものか。
これを読んで前屈みにならない男はあまりいないんじゃないだろうか。傑作。でも何度も読み返したくない。
読んでいるので、読書時間がほとんど通勤電車内に限られてしまっている。
とりあえず、最近読んだものの感想をいくつか。
村上貴史『ミステリアス・ジャム・セッション』の読書会に逆密室一同も(もちろん村上さんも)参加。探偵小説研究会では、定期的にこうした評論などを課題作にして読書会を開いているとのこと。いろいろ興味深い意見も聞けて、私は参考になりました。
ちなみにこの本は「ミステリマガジン」連載の日本人作家インタビュー30回分を収録したものだが、本にまとめるに際してちょっとしたコラムが追加されている。本編の補足だったり、インタビューのこぼれ話だったり、内容はいろいろ。が、「酒を飲んで云々」という記述が目立つので数えてみたところ、30本中12本に村上さんが酒を飲む記述が見られた(ちなみに1回目はバリウムも飲んでいる)。
だからというわけではないが、読書会の後は近くの居酒屋にて宴席(誰もバリウムは飲まなかった)。「ここはひとつ腹を割って」とか「手打ち」とか不穏な語が飛び交っていたのはご愛嬌。
……が、恐ろしいことに宴席終盤の記憶が途切れている。私はたまたまデジカメつきのPDAを持っていたのだが、後で確認したところ、なんだか大変なものが写っていた。
いったいなにがあったんだろう? 今度逆密室の人に会ったら、偽の記憶を植えつけられそうで怖い。