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2009年1月の日記

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未完のモザイク

ミステリ
ASIN:4576090046 ジュリオ・レオーニ (著), 鈴木 恵 (翻訳)

中世のフィレンツェを舞台に、執政官のひとりに任じられた詩人ダンテが探偵役を務めるミステリ。
モザイクの名工が殺された謎を解く物語だが、印象に残るのは事件の捜査そのものよりも、フィレンツェに蠢くいくつもの陰謀。怪しげな学者たちが町の酒場に集い、エキゾチックな踊り子もなにやら秘密を抱えているようで、さらには異端の信奉者が暗躍し、ローマ教皇庁がなにやら企んでいる……という、不穏な気配が物語の魅力を生み出している。

終盤に見られる大風呂敷の広げっぷりもなかなか凄い。クライブ・カッスラーかと思ったよ。
詳しくは2月末刊行のミステリマガジン4月号で。

2009/01/28(水) 今年もよろしくお願いします。

日常
……と今ごろ書いていると、たいへん間の抜けた感じでいいですね。
が、今年最初の更新は一月も終わろうというこの時期なのでした。
ひきつづき適当にやっていきます。

1: 単二 『奥方さまは快復なされましたでしょうか。 ともあれ今年もよろしくです。 たまには顔見せてくださいね。(^^)』 (2009/01/28 23:43)

2: 古山裕樹 『ご無沙汰しております。妻はもう何事もなかったかのように日々お酒飲んだりしています。』 (2009/02/01 26:34)

狼のゲーム

犯罪小説
ASIN:4270102640 ブレント・ゲルフィ (著), 鈴木 恵 (翻訳)

現代ロシアを舞台にした犯罪小説。主人公はチェチェン紛争で片足を失った元軍人、今ではマフィアの一員。幻の名画を奪い合う大物同士の暗闘に巻き込まれ、政治家たちも関わるロシアの暗黒社会で,生きるか死ぬかの闘いを繰り広げることに……。

ソ連の崩壊は、冒険小説やスパイ小説の便利な敵役を消し去ってしまったかもしれない。だが、代わりに腐敗と暴力のワンダーランドを生み出した*1。書いているのはロシア人ではなく、他国の作家たち。フリーマントルの最近の作品をはじめ、フィリップ・カー『屍肉』、ロビン・ホワイト『永久凍土の400万カラット』、ジェームズ・ホーズ『腐ったアルミニウム』とか。当のロシア人はあまり愉快な気分ではないと思うが、今や暗黒ロシアはこの手の小説の有望な舞台になっている。

主人公もその恋人も敵役たちも平気で人を殺すような連中ばかりで、暴力描写はけっこう凄惨。暗黒ロシアという不穏な舞台の生々しい描写も加わって、過酷な緊張感が全編に漂っている。

*1 : もちろん、実際のロシアがどうかは知らない。怪しげな事件はいっぱい起きているようだが。