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2008年2月の日記

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対決の刻

ミステリ
上 下 ディーン・クーンツ / 田中一江訳 / 講談社文庫

クーンツは二種類の小説を書いている。犬が活躍しない小説と、犬が活躍する小説だ。
両者の主な違いは──後者のほうが感情を揺さぶる度合いが大きい。

犬を登場させるときのクーンツには何かが憑いている。通常ならば「いやあ面白かった」と満足して本を閉じておしまいなのだが(これを常に維持しているところがクーンツの凄みでもあるのだが)、犬が登場する作品では涙腺が緩んでいることも珍しくない。かの『ウォッチャーズ』もそうだし、『ドラゴン・ティアーズ』の犬視点も忘れられない。

「どんな苦境にあっても生き延びろ」「最後には正義が勝利を収める」がクーンツ作品の二本柱だが、実はもう一本の柱があるのだ。

「犬は素晴らしい生き物である」

で、本書は犬が出るクーンツ作品である。いうまでもないが、本書の犬もまた素晴らしい存在である。クーンツ作品の中でも、犬にここまで大きな価値を持たせた例は他にないだろう。