2006年6月の日記
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多くの場合、応募原稿を読むときはわりと冷静だ。読みながら「キャラクターの描写はもっと濃密な方が」てなことを考えていたり。
中には、そういう冷静さをはぎ取ってしまう作品もある。描写が云々、なんてことを考えている場合ではなくなる。この話はいったいどうなってしまうのか、とラストまで一気に読んでしまう。
で、無事そういう作品に遭遇できました。
そういえば、こいつもかなり意外性を狙った作品だった。現在ならばともかく、発表当時だったらあまりの意外さに思わず読み返してしまったのではないだろうか。
スピレーンのマイク・ハマーものにも似たようなネタがあったのをふと思い出した。
ポール・パインと同じ年齢になりました。
そんなわけでポール・パインの登場する「栄光」三部作の三番目。
前半でさっそく後頭部を殴られる。
「また頭だ!」おれは自分にいいきかせた。「いつもきさまは、頭のうしろばかりやられるじゃないか。ベッセマー鋼鉄帽でもかぶるとするか」
ちょっと笑ってしまった。当時すでに「お約束」だったわけですね。
むー。けっこうギリギリになりそうな予感。
今のところ軽快&ユーモラス。帯には「コージー&ハードボイルド&ファンタジイ」とあったけど、少なくともハードボイルドではない。
"わたしを忘れないで"。題名をそう書き間違えて、直した。
何よりもまず『わたしを離さないで』という題名がぴったりと合う話だが、私にとっては「わたしを忘れないで」という話でもあった。回想を主体に組み立てられていること、そして互いの思い出こそが、主人公たちの唯一の財産であること(誰でもそうなのかもしれない)。
よくできたミステリを再読すると、冒頭からかなり大胆な伏線が張られていたことに気づいて驚くことが多い。この本にもそういうところがある。
読み終えたばかりで、いろいろなことが整理されないままに頭の中を渦巻いている。
あんまりだと思ったのでちょっと再読。