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2005/07/27(水) 読みかけの本など

日常

[] 魔の都の二剣士 / フリッツ・ライバー

ISBN:4488625088

 しばらく前に『ランクマーの二剣士』が刊行され、ようやく定訳版が全部揃ったシリーズ。1巻目からゆっくり読んでいる。

 1~3巻は旧版で読んだので、再読になる。異世界ファンタジーにパルプマガジン的怪奇小説の味わいを加えたものとして印象に残っている(読んだときは中学生か高校生だから、パルプマガジン云々は後づけ)。ところで表紙のイラストは、旧版のほうが作品の色に似合っていたと思う。

2005/07/23(土) 地震と後宮

日常

[] 後宮小説 / 酒見賢一

ISBN:4101281114

 mixiの某コミュニティで、この本の読書会を催すというので参加することにした。かくして再読。

腹上死であった、と記載されている。

というふざけた1行目が作品のあり方を物語っている。

比較的短いこともあって、ディテールについては物足りない部分も残る(例えば、宮廷内の権力闘争についてはかなり端折られている)。とはいえ、ぬけぬけと嘘をつく姿勢が楽しい。

この稿を書くにあたり、拠ることになる文献は「素乾書」「乾史」「素乾通鑑」の三種で、前二者は宮廷の史官によるいわゆる正史である。

なんてことを書いてみたり、欧州の学術調査団の一人が著したという『素乾城の思い出』なんていう本まででっち上げてしまうのだ。タマカ・ヒエロの『千の木の葉』みたいなものか。

 で、主人公たちのちょっとマヌケな(しかもある種えっちな)振る舞いを描いた後に、

ここで、筆者も馬鹿かと思わないこともない。この小説のもとだねとなっている歴史書の一つ「素乾書」を編纂した無名の史官に対してである。正史とは国家の歴史の正式な記録である。にも拘らず、このような痴戯の類まで馬鹿正直に記載しているのである。

とかマジメそうに書いているのだ。このへんの「マジメな顔でバカなことを書く」という姿勢が素晴らしい。

そんな史官の執筆態度に筆者も好意を覚えざるを得ない。

 俺も好意を覚えたぞ。

 この本の「虚構を築き上げる」姿勢はかなり徹底していて、断言はできないが見た範囲では「中国」「漢字」といった語句は一切使われていない(7/24追記:よく見たら「中華」ってのがあった。文庫版p.185)。また、17世紀に存在するはずのないフランス皇帝だのイタリア軍だのが出てくるあたり、作中でのヨーロッパはどんな歴史を歩んだのだろう、と小説の中に書かれていない「隙間」への想像を刺激してくれる。

2005/04/06(水)

日常

[]クリストファー・ファウラー / ルーフワールドISBN:4150201374 (1)

ハヤカワ文庫FTではあるが、基本的に現実の枠をはみ出す要素はないようだ。

舞台はロンドン。建物の屋根の上にひそかに築かれた、独自の社会をめぐるスリラーのようだ。

都市の地下に、ひそかに独自の社会ができていた……というのは地底小説の典型的なテーマだが、これはそれの屋上版。いわば裏返しの地底小説かもしれない。