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▼ 2005/06/30(木) 犬の系図と冬将軍
■[読書]雪中の奇跡 / 梅本弘 (2) 読了
文章がアレだというのを差し引いても面白く読むことができた。強大な敵に劣勢な軍隊で挑むという泣かせるシチュエーションのおかげだろう。多数の写真も、文章がアレなのを補っている(もっとも、フィンランドの地理なんてよく知らない上に、地図が少ないので戦況がわかりにくい)。
ナポレオンにしてもヒトラーにしても、ロシアに攻め込んだ外国の軍隊は"冬将軍"に痛い目にあわされている。そのロシアの兵士たちが、フィンランドの冬に苦戦するさまは興味深い(温暖な地方から集めてきた兵士も多かったようだ)。ここでの経験が、後のドイツ軍との戦いにも活かされたのだろうか。
同じ著者による、第二次ソ・フィン戦争を描いた『流血の夏』ISBN:449922702Xも手に入れてみた。
1: shinta 『見出しを見て、犬の系図を作ってくれたのかと思ったよ。』 (2005/07/01 13:36)
2: ふるやま 『ご期待に添えずすいません。ヒマだったら作るんですが……』 (2005/07/01 24:24)
3: nobu 『しっかし、すごい読書量ですよね。年何冊ぐらい読まれるんですか?』 (2005/07/01 26:14)
4: ふるやま 『実はちゃんと数えたことがないので、はっきりしません…。でも、書評を書く人としては、決して多い方ではないんじゃないか、と思います。』 (2005/07/02 11:54)
5: こじま 『「犬の系図」が気になって『ベルカ、吠えないのか?』を読み始めました。PCで縁戚メモをとりながら読んでいるので電車の中で読めません...』 (2005/07/13 13:46)
▼ 2005/06/28(火) アルレッキーノの柩とかフィンランドとか
■[読書] 雪中の奇跡 / 梅本弘 (1)
1939年。ソ連は人口370万の小国フィンランドに侵攻。旧式な装備の小規模な軍隊しか持たないフィンランドはあっさり敗れるかに見えた。だが、彼らは抵抗を続け、次々とソ連軍を壊滅に追いやる。その善戦は「雪中の奇跡」として世界に報じられた……という、「冬戦争」の全貌をまとめた書物。
貧弱な軍隊で圧倒的な敵に挑むというシチュエーションが泣かせる。私にとっては、世界の中心で会いににいきます、とかそういうのよりも泣ける。
著者もフィンランド軍に感情移入するあまり、ときどき地の文でフィンランド軍のことを「我々」なんて書いていたりする。別に『裁くのは誰か?』ISBN:4488256023みたいな趣向ではない(と思う)。著者はフィンランド人ではないので、『病める巨犬たちの夜』でもないはずだ。……というかですね、文章がとても下手なのが泣ける。
そんなわけで泣いてばかりです。おもしろいけど。
▼ 2005/06/18(土) 「このミス大賞」折り返し
▼ 2005/03/28(月)
■[読書] ララバイ / チャック・パラニューク (2) 読了
モンティ・パイソンの「ギャグ爆弾」を思い出した。誰もが笑い死にする恐怖のギャグ。イギリス兵たちがそのドイツ語訳を戦場で読み上げると、ドイツ兵たちが次々と笑いながら倒れてゆく……。
ちょっと構図は異なるけれど、この本はそんな「ギャグ爆弾」を手にしてしまった男が主人公。危険な「ギャグ爆弾」を葬り去るための彼の旅路の行き着く先は……という物語。
徐々にエスカレートする展開は他のパラニューク作品と同様で、勢いのある文体もいつもどおり。時系列のかき混ぜっぷりは控えめ。
『チョーク!』ISBN:4152085495とならんで、初パラニュークに適した作品だと思う。