▼ アインシュタイン・セオリー
【ミステリ】
マーク・アルパート(著), 横山 啓明 (翻訳)
科学史家デイヴィッドの恩師が何者かに襲撃され、謎めいた番号を言い残して死んでしまった。FBIはなぜかデイヴィッドを捕らえて尋問する。このときから、デイヴィッドは強大な破壊力を実現する物理理論の争奪戦に巻き込まれてしまったのだ。
その理論の生みの親はアインシュタイン。彼は生前ひそかに統一場理論を確立していた。だが、理論の悪用を恐れたアインシュタインは、愛弟子の手を借りてその理論を封印してした。そして今、その理論を手に入れようとする者たちが動き出す……。
悪用されたくないなら書き残すなよ、とアインシュタインに突っ込みたくなるような話だが、冒頭から山場の連続で、最後まで飽きることなく読めた。序盤でおもちゃの水鉄砲ひとつで身を守る場面や、自閉症の少年が愛するゲームをはじめ、脇役や小道具の使い方は巧妙。
ただし、前述したような突っ込みどころが目立つのも確か。さすがに、単なる物理法則であればいずれ誰かが再発見してしまうのでは……というところについては一応回答らしきものが用意されていた(これがニコラ・テスラの謎の発明品だったりしたら、もっと再現も難しくなるのだが)。また、論文の隠し方も気になる。どうせ隠すなら、愛弟子もよく考えて隠し場所を選ぶべきだと思った(後から明かされる「バックアップ」の存在はむしろ巧妙なのだが)。
とはいえ、いわゆるジェットコースター風サスペンスとしては十分に楽しめる作品だ。
欲を言えば、せっかく物理理論を話の核に持ってくるのであれば、こんなマクガフィンみたいな扱いではなく、『数学的にありえない』くらいに物語の展開と不可分になっていれば……と思う。
科学史家デイヴィッドの恩師が何者かに襲撃され、謎めいた番号を言い残して死んでしまった。FBIはなぜかデイヴィッドを捕らえて尋問する。このときから、デイヴィッドは強大な破壊力を実現する物理理論の争奪戦に巻き込まれてしまったのだ。
その理論の生みの親はアインシュタイン。彼は生前ひそかに統一場理論を確立していた。だが、理論の悪用を恐れたアインシュタインは、愛弟子の手を借りてその理論を封印してした。そして今、その理論を手に入れようとする者たちが動き出す……。
悪用されたくないなら書き残すなよ、とアインシュタインに突っ込みたくなるような話だが、冒頭から山場の連続で、最後まで飽きることなく読めた。序盤でおもちゃの水鉄砲ひとつで身を守る場面や、自閉症の少年が愛するゲームをはじめ、脇役や小道具の使い方は巧妙。
ただし、前述したような突っ込みどころが目立つのも確か。さすがに、単なる物理法則であればいずれ誰かが再発見してしまうのでは……というところについては一応回答らしきものが用意されていた(これがニコラ・テスラの謎の発明品だったりしたら、もっと再現も難しくなるのだが)。また、論文の隠し方も気になる。どうせ隠すなら、愛弟子もよく考えて隠し場所を選ぶべきだと思った(後から明かされる「バックアップ」の存在はむしろ巧妙なのだが)。
とはいえ、いわゆるジェットコースター風サスペンスとしては十分に楽しめる作品だ。
欲を言えば、せっかく物理理論を話の核に持ってくるのであれば、こんなマクガフィンみたいな扱いではなく、『数学的にありえない』くらいに物語の展開と不可分になっていれば……と思う。
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