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ミレニアム2 火と戯れる女

ミステリ
スティーグ・ラーソン / 早川書房

 送っていただいた見本を読了。
 今回はすぐれた調査能力を持つヒロイン、リスベット・サランデル自身の事件。彼女が殺人事件の容疑者として追われ、しかも事件には彼女自身の過去にまつわる秘密が関わっていた。

 彼女の生い立ちについては前作でもある程度触れられていたが、今回はさらに衝撃の事実が明かされる。本筋と直接関係ないのに妙にたっぷり書き込んでるな……と前作を読んだときに思ったのだが、今回につなげるためだったようだ。そういえば本書でも、意味ありげに提示されながらそのまま回収されなかったエピソードが残っているが、これもやはり次で回収されるのだろうか。
 優等生ジャーナリストのブルムクヴィストと、はみ出し者のサランデル。対照的な二人の主人公だけでなく、捜査に当たる刑事たち、さらには敵役の異様な面々と、登場人物の造形は相変わらず鮮やか。キャラクターが確立されているからこそ、クライマックスの衝撃も効いてくる。

 この作品に描かれる事件の背後には、スウェーデンと外国との関わり方がある。時代は違えどシューヴァル&ヴァールーや、あるいはほぼ同時代のヘニング・マンケルにも似た匂いが漂ってくる。

 おそらくはあのエピソードが回収されるであろう第三部も楽しみ。

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