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『[ミステリ]』 で検索

2005/07/27(水) 読みかけの本など

日常

[] 英国占領 / マリ・デイヴィス

ISBN:4576050990 ISBN:4576051008

もしもナチス・ドイツがイギリス侵攻に成功していたら……という設定のもとで、占領下のイギリスを舞台にした、レン・デイトンの『SS-GB』(上ISBN:4150404526 / 下ISBN:4150404534)みたいな話。この手の話では定番の、国防軍とSSの確執もうっすらと描かれ、いっぽうのレジスタンスも一枚岩ではなく(なにしろ貴族もいれば共産主義者もいる)、占領下で暮らすイギリス国民の姿勢もさまざま。そんなわけで対立関係はけっこう入り組んでいて、その複雑さがおもしろさを引き立てている。

2005/07/07(木) 七夕だけど

日常

[] ハシシーユン暗殺集団 / テッド・ベル  (2)

力士・イチノヤマはやってくれました。本書のクライマックスは相撲勝負。主人公(もと海軍中佐)が、アメリカを破滅から守るために土俵に立つ!

もちろん「切腹」というキーワードも出てきます。国辱描写マニアは必読。

[] カインの檻 / ハーブ・チャップマン

ISBN:4167705060

重厚。好みには合わないが、いい作品だと思う。

[] 消えた境界線 / アラフェア・バーク

ISBN:416770501X

ジェイムズ・リー・バークの娘。もっとも父親の威光は必要なさそうだ。構成の緻密さは父親以上(もともと父の弱い部分でもあるのだが)。

1: kozukata 『ご好評でなによりです。アルレッキーノもありがとうございました。そして……うふふ……がんばってくださいませ。』 (2005/07/08 24:58)

2: ふるやま 『どうもです。やっと終わりました。』 (2005/07/10 27:12)

2005/07/03(日) ドキッ! 女だらけの暗殺集団

日常

[] ハシシーユン暗殺集団 / テッド・ベル  (1)

ISBN:4150410860 ISBN:4150410879

 表紙からも分かると思う。頭をカラッポにして楽しむ冒険アクションものである。主人公は海賊の末裔で大金持ちで元英国海軍中佐といういかにもなヒーロー。敵は女性ばかりの暗殺集団。いやあ実に楽しそう。

 しかも「クライブ・カッスラー絶賛」である。「スティーヴン・キング絶賛」には全く情報量がない(何でも褒めるからだ)けど、カッスラーである。傾向が明確ですね。少なくともパトリシア・ハイスミスみたいな作風ではない(……って、表紙を見れば分かるか)。

 で、登場人物表がまた素晴らしい。これだ。

イチノヤマ……力士

 力士! 力士だ!

 元軍人やテロリストや米国国務長官に混じってスモウ・レスラーである。どういう活躍を見せるのかまったく分からないが、同じ日本人としてイチノヤマを応援したい(実はモンゴル人だったりしないよな。モンゴル人でも応援するけど)。

 読んでみると、けっこう早い段階でイチノヤマの素性が明らかになる。彼を含む四人の力士は、優れたボディガードを求めるある人物に誘拐されて、国外に連れ去られたのだ。

 当時、四人の力士の失踪に日本じゅうが大騒ぎとなった。だが、四人の行方は杳として知れず、そのうちに日本は不況のどん底に陥り、消えた力士たちのことは忘れ去られた。

 ひどいよテッド! あんまりだ!

 なんだか作者に対して腹が立ってきたが、ミステリマガジンに書評を書くためにも、そしてイチノヤマの活躍を見届けるためにも、がんばって最後まで読もうと思う。

2005/07/01(金) ケッチャムさんのとんち話

日常

[] 黒い夏 / ジャック・ケッチャム

ISBN:4594049834

 キャンプ場で、ある若者が面白半分に二人の女性を銃で撃つ。そんな凄惨なプロローグで幕を開ける。それから四年後、ある刑事が事件の再捜査を始めるところから本筋が始まる。

 ケッチャムといえば陰惨な描写だが、本書では(冒頭はともかく)あえてそれを抑えている。とはいえ、不穏な気配を濃厚に醸し出す筆さばきはケッチャムならでは。いびつな若者の日常を描くだけで不穏。ページを繰る手が止まらない。

 詳細は次号ミステリマガジンにて(書評担当本なのです)。

2005/06/28(火) アルレッキーノの柩とかフィンランドとか

日常

[]アルレッキーノの柩 / 真瀬もと (2) 読了

ISBN:4152086475

 楽しめる作品。紹介文はガジェットを前面に押し出していたけれど、どちらかというと主人公を初めとする人々の心情の動きが主体となるおはなしだ。

 小道具の扱いは意外にあっさりしている。特に「十二人の道化クラブ」に集う人々はもっと奇人揃いで、あやしい会則ももっと前面に出てきてもよかったのではないかと思う。芦辺拓やマイケル・スレイドみたいな、呆れたガジェット偏愛を期待してしまったのだが、そういう趣旨の作品ではない。

 ただ、登場人物の描き方もけっこうあっさりしているので、もっと執拗にねちねちと描いてくれてもよかったと思う。