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2004年2月の日記

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2004/02/22(日)

日常

試験

勤務先が所属する業界団体が、ちょっとした技能認定試験を開催している。そいつを受ける羽目になったので、昼から新宿に出かけた。意気込んで出かけた、ということにしておいてください。

新宿駅近くの証明写真コーナーで写真を用意して、試験会場近くの店で食事しながら受験票に写真を貼りつける。この用意周到ぶりにも、試験にのぞむ熱い気持ちがうかがえるというものだ。なお、写真を切って貼るための鋏と糊は新宿のコンビニで買った(ついでに筆記用具も)。

ちなみに店員の女の子が新入りだったようで、ややこしい注文をしたわけでもないのに後から二度も確認された。慣れていないせいか何かとミスが多く、店長らしき人(たいへん苛立っていた)が何度も女の子を叱って、非常に殺伐とした空間ができあがっていた。ひとが飯食ってる横であまり殺伐とされても困るのだが。なんというか、休日に試験を受けさせられるような重い気分になってしまった。

食事の後はすぐに試験会場へ……は行かず、コーヒーを飲みながら飯嶋和一の新作『黄金旅風』を刊行より一足お先に読んでいた。鎖国へと向かう17世紀の長崎を舞台にした骨太の物語に、しばし試験を忘……ええとその、大きな困難に立ち向かう登場人物たちの意志が、やはり試験という困難に立ち向かう私の熱意と重なって感じられたのだ、ということにしておいてください。

会場に着いた後も試験開始直前まで読み続け、試験の休憩時間もずっと読んでいた。いかに熱意をもって試験に臨んだとはいえ、ものごとには優先順位というものがある。毎年開催される試験と、数年に一度しか出ない飯嶋和一の新作。どちらを重視すべきかは言うまでもない。

その『黄金旅風』はすばらしい小説である。ふだんゲテモノばっかり面白がっている私だが、真摯な物語を受け付けなくなるくらいに感覚が壊れてしまったわけではない。こういう正攻法の傑作に心を揺さぶられるからこそ、わけのわからない怪作や珍作を楽しく読めるのだ。

ふだん私が面白がっているものは、あまり万人におすすめできないもの(というかむやみに人にすすめちゃいけないもの)が多いけど、これは素直にみなさまにおすすめします。傑作。

2004/02/21(土)

日常

東東京ミステリ・リーグ交流会

特別な何かがある、というわけではなく、ご近所(とやや遠方)に住まう人々が集まる宴会である。

昨年末、大森さん宅にて私がどんなふうに眠りこけていたのか、といった自分の過去の欠落を補うことができたのは大きな収穫……ではないが、教えてくださってどうもありがとうございました。

吉野仁さんから、レイモンド・チャンドラーの意外な側面を教えていただく。ううむ、そうでしたか。ミステリという枠に閉じない、一歩引いた視点の大切さを改めて感じた。

電車で帰る方々を駅まで見送って、のんびり歩いて帰る。ふだんは終電を心配したり、あるいは気づいたころには終電がなくなっていたり、ということばかりなので、こんなときはありがたい。

2004/02/17(火)

日常

勤務先で

年金や退職金の制度改定の説明会。冊子の資料だけでなく説明ビデオも用意するという工夫はいいが、中途半端に寒い寸劇がはさまれるのには閉口した。「わかりやすい」ことと「親しみやすい」ことは別物で、下手な親しみやすさの演出は「説明」にとってのノイズになりかねない。

早川書房近くの店で飲む。

トイレには『さくらインテリーズ』と『トレインスポッティング ポルノ』の表紙が貼られているすてきなお店だ。

案の定終電を逃して 神田→東京→京葉線にのりかえ→葛西臨海公園→タクシー で帰宅。

このルートで一番きついのが東京駅での乗り換え。深夜の京葉線ホームへ向かう道は、決して世間に知られることのないスプリンターたちでいっぱいだ。

2004/02/16(月)

日常

七つの時計

 解説を書いた『七つの時計』が書店に並んでいる模様。来月は、あの素敵なバカ話『ビッグ4』も刊行されるようだ。

 早川書房から送っていただいた『七つの時計』にはさまれていた新刊案内を見て、

  • G.K.ウオリ『の女』
  • エリオット・パティスン『霊峰の血』
  • チャック・パラニューク『チョーク!』

 といったところに興味が湧いた。『箱の女』はジャック・ケッチャムの『地下室の箱』みたいな倫理的によくない話であろうか。『霊峰の血』は政治犯探偵がチベットで推理するシリーズ第三作。『チョーク!』はパラニュークの作品、というだけで私は読まざるを得ない気分になった。