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2004年2月の日記

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2004/02/08(日)

日常

貴重な完結作

ISBN:4152085401

ISBN:4087604500ISBN:4087604519

を立て続けに読む。ちなみに、どちらも妻を殺された夫が事件を追うという物語だ。

前者はこれまでのダイヤモンド警視ものを何冊か読んでからのほうがいいだろう。

後者はおすすめ。ル・カレって、ソ連が崩壊してからのほうが、筆捌きが奔放になってきたような気がする。

ラヴゼイは『最期の声』で、ダイヤモンド警視に、ル・カレの作品の登場人物はみんな遠回しな喋り方をする、てなことを言わせている。読みながら思わず笑ってしまったのだが、確かにそのとおりだ。でも、近年のル・カレの作品は、そういう婉曲さを保ちながらも読みやすさを増しているように思う。『パナマの仕立屋』みたいな愉快な話を書くル・カレなんて、少なくともジョージ・スマイリー三部作からは想像しにくい。

ところで、日本でル・カレみたいなスタイルで書きたがる作家といえば思い浮かぶのが佐藤大輔。『東京の優しい掟』

は、日本の防衛関係者のお話を、あろうことかジョージ・スマイリー三部作を模したと思しきスタイルで書いてしまった作品だ。登場人物がみんなものすごく回りくどい喋り方をするので、話の展開を理解するのにとても苦労した記憶がある。

ISBN:4198904774

この人のシリーズもので一番優れているのは『征途』だろう。ちゃんと完結している、という点だけでも、他のシリーズにはない大きなアドバンテージだ。

2004/02/07(土)

日常

休日出勤。

突然割り込んでくる用事なんてものはないし、平日よりも仕事しやすい環境なのは確かだ。毎日が休日だったらいいのに。

2004/02/05(木)

日常

案の定まともな時間に帰宅できず。

2004/02/03(火)

日常

本にまつわる連想

今週は書店が開いてる時間に帰宅できそうにないので、昼休みに職場近くの書店で時間を潰し、本を買い込んで帰る。

S.J.ローザン『苦い祝宴』ISBN:4488153062 , ラース・フォン・トリアー『ドッグヴィル』ISBN:4048973320 , 田雁『ブラックチャイナ』ISBN:4901784293 などなど。

最後の『ブラックチャイナ』の副題は「規範なき大陸の暗黒年代記」。このサブタイトルにつられて買ったと言っても過言ではない。

もうすこし自分の思考をふり返ってみると、

#「大陸」「暗黒」の文字を見る

#マイケル・スレイド『暗黒大陸の悪霊』ISBN:4167661462を連想

#小説の舞台はバンクーバー

#同じ街が舞台の馳星周『ダーク・ムーン』ISBN:4087745589 を連想

#『ダーク・ムーン』に限らず馳星周の小説には中国系の犯罪者がよく出てくる

#『ブラックチャイナ』

#おお、つながった!

冷静に考えてみると、連想がつながったからといって購入すべき理由はまったくない。だが、それでも買った当人は納得できてしまうのがマイケル・スレイドの恐ろしいところである。

ところで『暗黒大陸の悪霊』といえば、人と話しているときに何度か間違えて『暗黒大陸の浮気娘』と呼んでしまったことがある。「浮気」は『暗黒大陸の悪霊』という物語のキーワードのひとつでもあるのだが、間違いの理由はもちろん『暗黒太陽の浮気娘』ISBN:4151000100 だ。

『暗黒太陽の浮気娘』の舞台はSFファンの祭典。会場で起こった殺人事件に、新人作家が奇策を用いて謎解きに乗り出すというお話。舞台設定でSFファンの気を引きつつ、この奇策が昔のミステリへのある種のオマージュにもなっていて、そちらがお好きな人のハートもわしづかみ、という素敵な作品だ。

 ……こう書くとなんか傑作みたいだな。いや、私は傑作だと思うのだが。ミステリとしては別にたいしたことはないし、ベスト選びのたぐいに名前が出てくることはまずないだろうし、感動的でも衝撃的でもなければうまさが際立つわけでもない。とはいえ面白かったから忘れることもなくて、時々思い出しては愉快な気分になる──そういう慎ましやかな傑作である。バカバカしくてくだらない話なんだけどね。