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2009年7月の日記

2009/07/18(土) 2009-07-18

日常
 数年前から、ScanSnapというドキュメントスキャナを使っている。先日、最新機種に買い換えた。スキャン速度がかなり上がっていて、大量にスキャンする身としてはかなり便利。
 何をスキャンするのかというと、部屋に溜まった本や雑誌だ。空間のコストもバカにならないので、PCに取り込んで紙は処分している。十数年分のミステリマガジンも全部スキャンしてしまったので、今ではDVDーR2枚くらいに収まっている。『レインボーズ・エンド』に描かれた、本を裁断してスキャンする計画にたいして違和感を持たなかったのも、そんなものを使っているせいかもしれない。
 最近は雑誌だけでなく本もスキャンしている。ハードカバーは無理かと思っていたが、やってみたら意外と簡単だった。物理的には特に難しい行為ではなく、表紙と背表紙と裏表紙をはがして、あとは綴じられた部分をディスクカッターで切り落とすだけ。
 むしろ、精神的な抵抗の方が大きかった。法月綸太郎「切り裂き魔」から野村美月『"文学少女"と繋がれた愚者』に至るまで、本を切り裂くという行為はよからぬこととして描かれる場合が多い。そのせいか、初めてポケミスをばらしたときは、ノワールの主人公が初めて人を殺すときのような不穏な魂の震えに襲われた。『バカなヤツらは皆殺し』は名作だと改めて思った。

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マイクル・ワイマンの逆襲

マイクル・ワイマンの逆襲 / ボブ・クック / 米山菖子訳 / サンケイ文庫

 56歳のワイマンはMI6の職員だが、公式には大学の研究員。しかし政府の支出削減のせいで、両方の職を失うことに。折しも、イギリスに情報を提供していたスパイ網のトップが東ドイツで射殺された。MI6に内通者がいるのでは? かくして、ワイマン最後の大仕事が始まった……

 英国情報部が東側のスパイに浸透される……というスパイ小説ではおなじみの話題で幕を開けるが、話は明後日の方向に飛んでいく。無能と見なされながらも実は教養豊かで頭も切れる窓際情報部員が、CIAやKGBまで巻き込んで繰り広げる最後の仕事。終盤の展開が非常に予測しやすいという難点はあるが(これは訳者あとがきも不用意だと思う)、機知に富んだ会話や文章だけでも満足できる。「景気後退が進行中なのだ」の台詞は繰り返しギャグとして何度も使われ、ぐうたらながらも頭の冴えたワイマンのキャラクターも魅力に富んでいて楽しく読める。

 ワイマンがどんな人物かは、登場わずか数ページで十分に語られる。例えば……
ミセズ・ホッブズが掃除するたびに、彼はその後何ヶ月も何かが見つからなくてぶつぶついった。ミセズ・ホッブズには本を本棚に、ファイルをキャビネットに、用箋を文房具戸棚にしまうという、腹立たしい習慣がある。ワイマンはこのような能率主義には我慢ができなかった。
 とか。共感を覚える箇所ではある*1

 ところで、上記引用部に出てくる「ミセズ・ホッブズ」もそうだけど、作中の人名や固有名詞は、哲学者や数学者にちなんでいるものが多いようだ。そもそも主人公のワイマンという名前も、論理学者クワインの論考に出てくる架空の哲学者からとられている。大学に残っている彼の友人の名はロックやヒューム。東ドイツ高官のコードネームはプラトンで、彼のために用意された口座はスイスのデカルト銀行のもの。

*1 : ちなみに本書は再読。きっかけは、本の山を片付ける途中で手にとったらつい止まらず……というものだった。ワイマンほどではないと思うが、私の部屋もかなり散らかった状態である。


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レインボーズ・エンド

SF
ASIN:4488705057ASIN:4488705065 ヴァーナー・ヴィンジ / 赤尾秀子訳 / 創元SF文庫

 読んだのはしばらく前のことではありますが。

 2030年代。サッカーの試合に流れたCMは、実は人間をマインドコントロールするための秘密兵器だった……なんて謀略から始まって、「ウサギ」と呼ばれる正体不明のハッカーが日欧印の情報機関と接触し……という展開に、すっかり近未来エスピオナージュを期待してしまったのだが、読んでみたら全然違った。

 物語の中心にいるのは、画期的治療法によってアルツハイマー病から回復した75歳の詩人。いわば過去からやってきた人物である。そんな男が、再び社会に馴染むための教育を通じて、ネットとユビキタス・コンピューティングが激しく発達したびっくり新世界に触れていく様子が語られる。かつての気難しい偏屈爺が徐々に変わっていくというおまけつき。

 作中、大学図書館の蔵書を裁断してスキャンするというリブラレオーメ計画なるものに対して、激しい反対運動が巻き起こる。しかし、なんでもデジタル化するのが当たり前というご時世で、そんなに反対運動が盛り上がるものだろうか、と疑問に思った。

裁断が反発を招くのなら、こんなのを使えばいいのに……

もっと小さくて場所をとらないものなら、私も1台ほしい。

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  • 2009-07-18 Bookstack 古山裕樹
     数年前から、ScanSnapというドキュメントスキャナを使っている。先日、最新機種に買い換えた。スキャン速度がかなり上がっていて、大量にスキャンする身としてはかなり便利。 何をスキャンするのかというと、部屋に溜まった本や雑誌だ。空間のコストもバカにならな...

2009/07/15(水) pomeraの利点

日常
 そうそう、もうひとつメリットがあった。

 これ、「文章を書く」以外のことはいっそ清々しいくらいに何もできないので、原稿を書くことに集中できる。ネットにつながったPCで書いていると、つい関係ないことに手を出してしまいがちだ。

 私のように、堅固な意志や集中力や気合いや根性や真剣さなどが欠如している人間にとっては、気を紛らすような多彩な機能はむしろ邪魔なのかもしれない。

1: 単二 2009年07月17日(金) 午前9時42分

うむー。同じく不埒な人間として単機能のよさに同感。
やっぱ買うかな〜

2: イゾノ 2009年07月17日(金) 午後11時46分

わー、まったくもって耳が痛いです!

3: 古山裕樹 2009年07月20日(月) 午前11時22分

あくまで私自身のことを指しているわけですが、同じ悩み(?)を抱えている人が他にもいると知って心強いです(←そして油断する)。


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2009/07/14(火) pomera

日常
発売当初から気になってはいたのだが、先日ようやくpomeraを買った。
さっそく、「このミス」大賞の選評などをすべてこれで書いてしまった。

今のところ大きな不満はない。行番号が表示できて、1行あたりの字数を指定できたほうが自分の用途には向いているが、割り切った製品なので諦めるしかなさそう。

最近、外出時に原稿を書くときはW-ZERO3[es]のキーボードを使っていた。反応速度もあまりよくないため、長い文章をまとめるのはつらく、せいぜい文字数や行数の調整程度*1。まあ、書いたらすぐ送信できるのは便利だ。

pomeraは単体では通信できないので、文章を書く→microSD経由でW-ZERO3[es]に移動→文字数などを調整→送信 という手順が必要。

そもそも、締切直前に書き始めるなんてことをしなければ、外出時に書いたりしなくてすむのだけど……。

*1 : 字数と行数を指定できるテキストエディタをインストールした

1: にじむ 2009年07月15日(水) 午前11時41分

わ、買われましたか。何色ですか?
やっぱりPCほどは打ちやすくないのでその中間、といった感じではあるのですが、あるのと無いのとでは全然違いますよね。
あと、おそらくポメラ自体を直接PHSに接続する方法もあるかな(データ送信とかで)とも思いました。まあ、ケーブル持ち歩くよりはカードでデータコピーの方が楽かも知れませんね。

2: 古山裕樹 2009年07月16日(木) 午前7時35分

おひさしぶりです。買ったのは白です。
microSDはかなり小さいので、ケーブルを抜き差しする方が扱いやすいかも……と思い、USBホストを使ってpomeraとつないでみましたが、どうやらこの方法ではうまく行かないようです。残念。

3: みかど 2009年07月17日(金) 午前5時53分

ううむ、俺も購入を検討しているのだが・・・

でも昔ほど文章打たなくなったからね。媒体はMicroSDか。あれ、使いづらいからな。せめて普通のSDが良かったな。。1

4: にじむ 2009年07月19日(日) 午後5時10分

うーん、そうですか。わたしも今度試してみますね。他のやはり書き物をされてる方も、文字数行数チェックができないところが気になっているそうです。そのうちできるかも知れませんね。あと、昨日うっかり保存してない文書をざっくり全消ししてしまい、しかしアンドゥが1度しか利かないようで、泣きそうになりました。まず無いでしょうがお気を付け下さい。

5: 古山裕樹 2009年07月20日(月) 午前11時25分

>みかどさん
ああ確かに。microSDの抜き差しは必要以上に緊張します。

>にじむさん
うっかり消してしまう+undo一度だけなので復活できず、にはすでに一度遭遇してしまいました。むやみに消さずに、残骸は末尾などに溜めておく、とした方がいいのかもしれません。

6: とおりがかりのもの 2009年08月05日(水) 深夜0時47分

http://www.forest.impress.co.jp/article/2008/11/14/pomeracopy.html
こちらを使うと簡単にPCへコピーできますよ。お試しあれ。


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