▼ 悲劇週間
【小説】

20歳の堀口大學が、外交官の父に呼ばれて、その任地であるメキシコに旅立つ……という物語。
つねに正義を貫けるわけではない外交の場で生きる父と、それを許せない息子との関係が話の軸になっている。
ただ、読んでいてまず印象に残るのは、「明治の日本青年」が外国の風物に接したときの新鮮な驚きだ。「何を」見たのかよりも、「どのように」見たのかを語るところに力を注いでいる。ストーリー自体はほとんど進まず、主人公がいろいろなものを眺めて回っているだけの場面でも、熱気と興奮を感じさせる。

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