【Osprey】
▼ 2007/01/20(土) 第5回このミス大賞授賞式
【日常】
気づいてみればもう5回目。1次選考で自分の箱に入っていた応募原稿が本になるのは第1回以来のことである。
『シャトゥーン ヒグマの森』は「熊が襲ってくる」という、シンプルにして破壊力の強いテーマの物語(1次選考の評)。作者の増田氏が、受賞の一言として「ヒグマの強さを知ってもらいたくて書いた」ということをおっしゃっていて、深く納得した次第。
『暗闘士』は複数の策謀が並走する、複雑なドライヴ感のある物語(1次選考の評)。作者の高山氏からは、パーティ席上で次作のプロットなどをうかがうことができた。謀略が錯綜する形式は、「殺人」に頼るのを避けた結果とのこと。
そして、大賞受賞作は……→ブレイクスルー・トライアル
『シャトゥーン ヒグマの森』は「熊が襲ってくる」という、シンプルにして破壊力の強いテーマの物語(1次選考の評)。作者の増田氏が、受賞の一言として「ヒグマの強さを知ってもらいたくて書いた」ということをおっしゃっていて、深く納得した次第。
『暗闘士』は複数の策謀が並走する、複雑なドライヴ感のある物語(1次選考の評)。作者の高山氏からは、パーティ席上で次作のプロットなどをうかがうことができた。謀略が錯綜する形式は、「殺人」に頼るのを避けた結果とのこと。
そして、大賞受賞作は……→ブレイクスルー・トライアル
▼ ブレイクスルー・トライアル
【ミステリ】
伊園旬 / 宝島社
今回(第5回このミス大賞)の大賞受賞作。
舞台はとある研究施設。そのセキュリティシステムを破るコンテストに、主人公をはじめとする複数のチームが挑戦する。最も短時間に目的をクリアしたチームに賞金が与えられる。ただし、彼らには「セキュリティ破り」以外にも隠れた目的があって……という物語。
侵入開始までの流れにかなりのページを割いて、各チームのメンバーをじっくり描いている。会話などのやり取りも軽妙で、離陸後の展開に期待が膨らむ。
侵入後も、それぞれのチームの動きが巧妙に組み立てられていて飽きさせない。ただ、「競争」でありながら、チーム間の駆け引きが希薄なのは残念。互いの足の引っ張り合いなんて要素があれば、さらにスリリングになったんじゃないだろうか。せっかくこれだけのメンバーをそろえたのに。
とはいえ、それぞれのチームの背景作りや、研究施設の仕掛けなど、多彩なアイデアがぎっしり詰まった作品としては十分に楽しめる。
今回(第5回このミス大賞)の大賞受賞作。
舞台はとある研究施設。そのセキュリティシステムを破るコンテストに、主人公をはじめとする複数のチームが挑戦する。最も短時間に目的をクリアしたチームに賞金が与えられる。ただし、彼らには「セキュリティ破り」以外にも隠れた目的があって……という物語。
侵入開始までの流れにかなりのページを割いて、各チームのメンバーをじっくり描いている。会話などのやり取りも軽妙で、離陸後の展開に期待が膨らむ。
侵入後も、それぞれのチームの動きが巧妙に組み立てられていて飽きさせない。ただ、「競争」でありながら、チーム間の駆け引きが希薄なのは残念。互いの足の引っ張り合いなんて要素があれば、さらにスリリングになったんじゃないだろうか。せっかくこれだけのメンバーをそろえたのに。
とはいえ、それぞれのチームの背景作りや、研究施設の仕掛けなど、多彩なアイデアがぎっしり詰まった作品としては十分に楽しめる。
■焼き鳥の食べ方
本筋とあまりに関係がないので、別の見出しを立てておく。以下は『ブレイクスルー・トライアル』の一節。
梓は焼き鳥を串から直接食べている。若い女は普通、箸で外してから口に入れるもんじゃないのか?(p.162)男でも箸で外すのを見かけるが、私は男女問わず串から直接食べればいいんじゃないかと思う。
宴席で串の盛り合わせが出てくると、さっそく片っ端から解体する人がたまにいるのだが、あれは勘弁してほしい。酷いことに、ねぎまもばらしてしまうのだ。握り寿司をばらして食べたりはしないだろうに。
1: こじま 『激しく同意。』 (2007/02/05 15:12)
-
▼
第5回このミス大賞授賞式
Bookstack 気づいてみればもう5回目。1次選考で自分の箱に入っていた応募原稿が本になるのは第1回以来のことである。『シャトゥーン ヒグマの森』は「熊が襲ってくる」という、シンプルにして破壊力の強いテーマの物語(1次選考の評)。作者の増田氏が、受賞の一言として「ヒグマの...
-
▼
ソリューション・ゲーム
Bookstack 伊園旬 / 宝島社『ブレイクスルー・トライアル』の作者の第二作。副題は「日常業務の謎」。いわゆる「日常の謎」だったら犯罪が絡むことはほとんどないけれど、「日常業務」となると話は別だ。コンプライアンスがどうのこうのとるさい昨今、対応を誤ると会社の命取りにな...
▼ 2007/01/04(木)
【日常】
■今年もよろしくお願いいたします
昨年秋頃から面倒になって更新せずにいたので、ひさしぶりになる。気がつけば「このミス」結果発表シーズンも過ぎてるし。
年末年始は、ミステリマガジン書評用の本を読んでいた。そんなわけで3月号新刊評の原稿はもう送ってしまった(のだけど、昨年の年間回顧原稿がまだです)。
年頭に際して目標をかかげておくと、今年は冒険小説の旧作を再読しておきたいと思っている。「論創社がどうやって名誉を挽回するのかを見守る」なんてのもいいけど、見てるだけで何もしないのも目標としては難がある。