ようこそゲストさん

Bookstack

メッセージ欄

『[読了]』 で検索

2006/03/01(水)

日常

[]マングースの尻尾 / 笹本稜平

ISBN:4198621152

フランス情報機関幹部の立場を利用して副業で私腹を肥やすマングースと、武器商人・戸崎との死闘を描いた連作短編。

「いかにも」な登場人物を配して世界各地を舞台に繰り広げられる罠の仕掛け合いは、安心して楽しめるできばえ。ただ、敵役が主人公を危機に追い込む → 敵役は自分の企みを得々と語る → その隙に主人公or味方が反撃する という「冥土の土産に教えてやろう」パターンを連発させるあたり、ちょっと重みに欠ける。

面白く読めるけれど、この人のベストとは言い難い。

2006/02/27(月)

日常

[]間違いの悲劇 / エラリー・クイーン

ISBN:4488104339

見どころは表題作(小説になる前のシノプシスの形ではあるけれど)。言葉への関心の強さも、後期のクイーンらしいモチーフも、どこをとってもクイーンらしい作品。他のさまざまなクイーン作品の顔がちらちら見えてくる。

2006/02/24(金)

日常

[]ながい眠り / ヒラリー・ウォー

ISBN:4488152074

警察小説であると同時に本格ミステリでもある、というのは解説にもあるとおり。丹念に手がかりを追って、曖昧な部分をひとつひとつ潰してゆく捜査活動の末に浮かび上がる意外な真相。読後、思わず最初のページに戻って読み直してみたくなる作品だ。

2006/02/20(月)

日常

[]トーテム / デイヴィッド・マレル

来月刊行の「完全版」の解説執筆用に再読。

旧版はいろいろなところを削った短縮版。完全版の方は、田舎町のパニックを描くことよりも、主人公と事件との向き合い方に重点を置いていて、冒険小説として楽しめる。何より人物描写が深化しているので、旧版よりも心に響く小説になっている。

あと、クライマックスが全然違う展開に。旧作を読んだ方も、完全版を読んだ方がいいと思う。

[]血の誓い / デイヴィッド・マレル

これ以外も、マレルの旧作をいろいろ読み返していた。ちなみに本書の主人公は作家で、その父親は第二次大戦で戦死……と、マレルの境遇そのまんま。「読者を楽しませること」に徹していながらも、何かと自身の姿を投影する人なのだ。

[]最後の喝采 / ロバート・ゴダード

こちらはミステリマガジン新刊評で取り上げた。帯には「異色作」と書いてあったけれど、読んでみればたいへんゴダードらしい作品。

2006/01/27(金)

日常

[]魔術師の夜 / キャロル・オコンネル

下巻に入ると徐々に物語のテンポが上がる。気がついたら読み終えていた。

たぶん単独でもそれなりに楽しめるはずだが、シリーズを順に追ってきた読者向けの作品だろう。

さまざまなジャンルの衣装をまとってはいるものの、中心にあるのはキャシー・マロリーという主人公の存在。ラストの格好いい風景などはその象徴だ。

スタイルはずいぶん違うけど、ヒロインの存在感に"Elektra"あたりを連想した。