■[ファンタジー]クリストファー・ファウラー / ルーフワールドISBN:4150201374 (1)
ハヤカワ文庫FTではあるが、基本的に現実の枠をはみ出す要素はないようだ。
舞台はロンドン。建物の屋根の上にひそかに築かれた、独自の社会をめぐるスリラーのようだ。
都市の地下に、ひそかに独自の社会ができていた……というのは地底小説の典型的なテーマだが、これはそれの屋上版。いわば裏返しの地底小説かもしれない。
2005年4月の日記
ハヤカワ文庫FTではあるが、基本的に現実の枠をはみ出す要素はないようだ。
舞台はロンドン。建物の屋根の上にひそかに築かれた、独自の社会をめぐるスリラーのようだ。
都市の地下に、ひそかに独自の社会ができていた……というのは地底小説の典型的なテーマだが、これはそれの屋上版。いわば裏返しの地底小説かもしれない。
たいへんバカバカしくてよろしい。
人類文明を脅かす異星人の戦略・戦術を把握すべく、彼らの言語や習性を身につけた特殊調査班の物語。
……だが、メンバーの大半はあまり異星人になりきれてないし、一人だけになりきってる奴はあまりにもなりきってしまってチームから浮いてしまっている。人類が何億人という単位で死んでいるさなか、彼らはおもむろに「これまでの人生で恥ずかしかったこと」を話す会を開いたり、もうなにがなんだか。
クライマックスで彼らが見出す解決法たるや、呆れてものも言えないくらいに意外だ。なぜもっと早くそれをしない? というタイプのもの。なんというか、クイーンの『第八の日』を思い出してしまった。
異星人の設定(4つの性と6人単位の社会構造とか)があまり活かされていないのはもったいないけど、この脱力もののオチだけですべてを許してしまいたくなる。許しちゃいけないような気もするんだが。