▼ ヴィドック
【ミステリ】
ジャン=クリストフ・グランジェ/角川文庫
『クリムゾン・リバー』の作者が手がけた映画脚本を、(たぶん日本で独自に)小説に書き直したもの。主人公のヴィドックは19世紀フランスに実在した人物で、犯罪者上がりの探偵。作中では、すでに警察を退いて私立探偵を営んでいる。これが、連続殺人事件を追ううちに、逆に犯人によって苦境に追い込まれるのがプロローグ。
『クリムゾン・リバー』の作者だけに、つい ミステリを期待してしまいがちだが、これはむしろダーク・ファンタジー。ヴィドックの超人的な名探偵ぶりは、乱歩の少年探偵団での明智小五郎を思わせるし、犯人の正体や動機も『クリムゾン・リバー』には及ばないものの、その根底には奇想が存在している。
ただ、ストーリーそのものはかなり薄味。もっとも、これは脚本を小説にした日本人の手腕の問題かもしれない。
時代を19世紀中ごろに据えているのは、もっぱら「雰囲気づくり」のため。史実に忠実というわけではないし、作中での七月革命の扱いもかなり唐突である。
映画のほうは、もっと面白いかもしれない。
『クリムゾン・リバー』の作者が手がけた映画脚本を、(たぶん日本で独自に)小説に書き直したもの。主人公のヴィドックは19世紀フランスに実在した人物で、犯罪者上がりの探偵。作中では、すでに警察を退いて私立探偵を営んでいる。これが、連続殺人事件を追ううちに、逆に犯人によって苦境に追い込まれるのがプロローグ。
『クリムゾン・リバー』の作者だけに、つい ミステリを期待してしまいがちだが、これはむしろダーク・ファンタジー。ヴィドックの超人的な名探偵ぶりは、乱歩の少年探偵団での明智小五郎を思わせるし、犯人の正体や動機も『クリムゾン・リバー』には及ばないものの、その根底には奇想が存在している。
ただ、ストーリーそのものはかなり薄味。もっとも、これは脚本を小説にした日本人の手腕の問題かもしれない。
時代を19世紀中ごろに据えているのは、もっぱら「雰囲気づくり」のため。史実に忠実というわけではないし、作中での七月革命の扱いもかなり唐突である。
映画のほうは、もっと面白いかもしれない。
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