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1421-中国が新大陸を発見した年

歴史
ISBN:9784789732215ギャヴィン・メンジーズ / ソニー・マガジンズ

歴史の専門家の目から見れば、きっと突っ込みどころ満載なのだろう。でも、門外漢としては気軽に楽しめる内容だった。いまどきの本らしく、 http://www.1421.tv/ という公式ウェブサイトもある。

明の鄭和艦隊といえば、アフリカ東岸まで到達したというのが学校で教える世界史での位置づけ。が、実はさらに航海は続いて、アフリカ西岸はもちろん、オーストラリア、南極、南北アメリカ、さらには北極海にまでたどりついていた……というのがこの本の主旨だ。

著者は元イギリス海軍の潜水艦乗りで、「船乗り」の視点から鄭和の航跡を検証してゆく。ピリ・レイスの地図やらビミニ・ロードといったミステリーな存在を、中国人の足跡に結び付けてゆく過程は、素材がはらむ怪しさと重なって、独特の楽しさがある。まあ、ちょー古代文明だのうちゅーじんだのに比べれば、「あれは15世紀の中国人が作ったもので……」という話のほうが受け入れやすいのは言うまでもない。

 ちなみに本書での「論証」は、なぜかヨーロッパ人が作った地図がベースになっていることが多い。当時のヨーロッパの観測技術を超えた地図を作っていたのは、実は中国人だった、というのだ。本書では、記録が中国に残されず海外に散逸した理由を、海外進出派が鎖国派との政争に敗れたことに求めている。明の官僚による破棄を免れた観測記録の断片がヨーロッパへと運ばれ、奇妙に詳しい地図のもとになった、というわけだ。まるで伝奇小説である。

 そんなところからもうかがえるように、この著者、いささか奔放な想像力の持ち主なのである。もっともらしい話だけで留めておけばよいものを、ついつい話のスケールを広げてしまいがちなのだ。北欧からのグリーンランドへの入植者たちが残した、謎の集団との遭遇の記録をもとに、彼らが大西洋から北極海を抜けて帰国した、なんて言い出すあたりはさすがに無理を感じた(が、それだけに読み物としては楽しい)。

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2004/01/23(金)

日常

「このミステリーがすごい!」大賞授賞式。

この日までに受賞作を読んでおかねば、と思っていたのだが、なんとか前日に読了した。

会場は宝島社の近くにあるホテルの中華料理店。第一回の授賞式が催された、バブルの残り香が漂うような会場にくらべるとずいぶん慎ましい。が、個人的には今回の会場のほうが落ち着いた風情で好感が持てる。少なくとも料理の質は去年より上だったと思う。

ただし前回はやたらと派手な演出があったけど、今回はなんだか普通の宴会という感じ。出席者も顔なじみの方が多く、「いつもと変わらないですねえ」なんてことを話した記憶がある。

 ちなみに大賞受賞の『パーフェクト・プラン』は、改稿の結果コンピュータ関連の記述が妙に詳しくなっている。なんでまたあんなことに……と思っていたのだが、その事情を知ることができた。大森望さんの趣味というより、大森さんがよそから知恵を借りてきた、というのが真相。

 しかしまさか、このミス大賞授賞式でLinuxがどうのとかRubyがどうのとかいう話をすることがあるとは思わなかった。

 その後三次会まで続いたが、杉江松恋氏が破壊衝動に駆られることもなく無事に終了。


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