▼ 木曜日に生まれた子ども
【小説】
ソーニャ・ハートネット / 河出書房新社
穴を掘る才能に恵まれ、地中で暮らすことを選んだ少年ティンと、その家族の物語。
時は第一次大戦後、舞台はオーストラリアの荒野。語り手の少女ハーパーには、ティンという奇妙な弟がいる。彼は幼いころから穴を掘るのが大好きだった。やがてティンはトンネルを作り、地中で暮らすようになり、地上の家族の前にもほとんど姿を見せなくなる。
おりしも大恐慌。一家には次々と災難が降りかかる。その折々に、ティンが地底から姿を見せる。救いになることもあれば、トラブルになることも。彼は徐々に、いける伝説のようなものになってゆく……。
風変わりな地底小説である。家族の中でただひとり「遠く」に行ってしまったティンは、遠くて近い他者。長大なトンネルを掘るその姿は次第に怪物めいたものになってくるけれど、それでも彼を家族として認めるハーパーたちの姿勢がいい。
過酷にして叙情的な物語だ。大恐慌が家族を疲弊させる様子が生々しく描かれる一方で、ティンの出現する場面はどこか幻想めいたものを感じさせる。クライマックスの荒々しい情景には、生々しさと幻想とが溶け合った奇妙な感動がある。
題名はマザーグースの一節、"Thursday's child has far to go"に由来しているとのこと。Pendragonの"The Voyager"という曲を思い出した。詞はマザーグースとは少し違っているけれど、やはり「木曜日の子どもは遠くへ旅に出る」という一節があるからだ。
ところでほかの曜日はどうなっているんだろう、と調べてみたらこんなサイトを見つけた。
http://www1.odn.ne.jp/~cci32280/pbMotherGoose.htm
ちなみに私は金曜日生まれ──愛情豊かなのだそうな。愛情豊か、ねえ。
穴を掘る才能に恵まれ、地中で暮らすことを選んだ少年ティンと、その家族の物語。
時は第一次大戦後、舞台はオーストラリアの荒野。語り手の少女ハーパーには、ティンという奇妙な弟がいる。彼は幼いころから穴を掘るのが大好きだった。やがてティンはトンネルを作り、地中で暮らすようになり、地上の家族の前にもほとんど姿を見せなくなる。
おりしも大恐慌。一家には次々と災難が降りかかる。その折々に、ティンが地底から姿を見せる。救いになることもあれば、トラブルになることも。彼は徐々に、いける伝説のようなものになってゆく……。
風変わりな地底小説である。家族の中でただひとり「遠く」に行ってしまったティンは、遠くて近い他者。長大なトンネルを掘るその姿は次第に怪物めいたものになってくるけれど、それでも彼を家族として認めるハーパーたちの姿勢がいい。
過酷にして叙情的な物語だ。大恐慌が家族を疲弊させる様子が生々しく描かれる一方で、ティンの出現する場面はどこか幻想めいたものを感じさせる。クライマックスの荒々しい情景には、生々しさと幻想とが溶け合った奇妙な感動がある。
題名はマザーグースの一節、"Thursday's child has far to go"に由来しているとのこと。Pendragonの"The Voyager"という曲を思い出した。詞はマザーグースとは少し違っているけれど、やはり「木曜日の子どもは遠くへ旅に出る」という一節があるからだ。
ところでほかの曜日はどうなっているんだろう、と調べてみたらこんなサイトを見つけた。
http://www1.odn.ne.jp/~cci32280/pbMotherGoose.htm
ちなみに私は金曜日生まれ──愛情豊かなのだそうな。愛情豊か、ねえ。
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