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2004年9月の日記

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2004/09/17(金)

日常

なんとか小説も読めるようになった

とはいえ翻訳ものは少々きついようで、まずは国内作家のものから。

ところで、読めない状態から回復できた理由として思い当たるのは、職場の事情だ。

職場での私は、互いに関連のない複数のプロジェクトに同時に携わっている。そのひとつが、ソフトウェア開発でいえばデスマーチに相当するようなモノだった。

その負担に引っ越し準備も加わって、心身の余裕をなくしていたようだ。

さいわい、同時進行中の他の仕事まで巻き込まないうちに、問題のプロジェクトからは距離を置けるようになった。それが昨日。タスクがひとつ減っても忙しいことに変わりはないが、他の仕事はまともに動いているのが救いではある。

もっともホンモノのデスマーチといえば、心を病んでしまったり、ひどいときには命を落とす人までいるわけで、私の経験などとは比べものにならない。絶望感に満ちたノワールの背景には向いてるんじゃないかと思う。

2004/09/14(火)

日常

疲れている

本を読もうとしても、目は文字を追っているのに内容が頭に入ってこない。田口俊樹訳のローレンス・ブロックがそんなに読みづらいものとは思えないのだが。

不思議なことに、ノンフィクションならばなんとか読める。どうにか読み終えた松本仁一『カラシニコフ』は、政府が機能せず治安が崩壊したアフリカの国々の現状を映し出す良書。

ISBN:4022579293

第一章で語られる、子供たちまで兵士として動員されるシエラレオネやリベリアの内戦の現状が実に凄惨。

そういえば、今回の「このミステリーがすごい!」大賞の一次選考通過作品の中にも、リベリア内戦を題材にした作品があった。二次以降はどうなるかなあ(2005-12-24追記:残念ながら落選)。

2004/09/12(日)

日常

そういえばこちらには書いていなかった。

ここのところ本の整理なんぞに没頭しているのは、もうすぐ引っ越すからなのだが、

その理由は結婚。

そんなわけで、今日もその準備や打ち合わせなどの用事で一日が過ぎていった。相手のひともそうだが、少々疲れ気味である。

夜は慶応推理研方面の人たちと軽く飲む。

2004/09/11(土)

日常

あれから3年、である。

ローレンス・ブロックのノンシリーズ作品『砕かれた街』を読み始めた。

(上)

(下)

舞台は「あれから1年」のニューヨーク。どうやら、連続殺人と、事件に巻き込まれた人々を描く群像劇らしい。

マット・スカダーものも一時期に比べるとずいぶん緊密さに欠けるようになっている。だが、かつて『倒錯の舞踏』で「現代社会の暴力」をめぐる思索を極限まで突き詰めたブロックだ。それだけに、例のテロをどんなふうに取り扱うのかが気になる。

本の愉しみ、書棚の悩み

読書
ASIN:4794213336 アン・ファディマン / 相原真理子訳 / 草思社

 引っ越しを前に、本の整頓に追われる日々。ふと本屋で見かけたこんな題名の本が気になってしまった。なにしろ「書棚の悩み」である。他人事とは思えない。

 読者としての本とのつきあい方に関する14のエッセイを収めた本である。ちなみに著者は作家で、結婚相手も作家。最初のエッセイでは、ふたりの蔵書を一つにまとめようとしたときのエピソードが語られる。てきとーな夫と緻密な妻が、おのおのの整理法をすり合わせながら蔵書を統合するという難業に立ち向かう、うるわしい物語である。

 本を、読者の人生の断片を形成するものとしてとらえ、書棚をその人の内面がうかがえる場所としてとらえている。明言こそしていないものの、「どんな本を持っているか教えてくれたまえ。君がどんな人物か当ててみせよう」と言わんばかりだ。本を読み、しかも読み終えた本を手元に置きたがる人ならば、共感できるところも多いだろう。

 本を整頓中の身として印象深かったのは、著者が古本屋で買った『本とその収納』という本の話。この本を書いたのはウィリアム・E・グラッドストン、19世紀のイギリスで何度も首相を務めた政治家である。政治と同じくらいに本にも情熱を注いだ人で、
心から本を愛するものは、命ある限り本を家へおさめる作業を人まかせにはしないだろう。
 なんて言葉を遺している。かくしてここでは、グラッドストンが(大英帝国を維持するのと同じようにして)大量の蔵書を管理していた様子が語られる。あいにく、すぐに実行するのは難しいのだが……。ちなみに、可動式の書棚を考案したのはこの人であるらしい。

……そんなわけで非常に楽しく読んだのだけど、どうしよう、また一冊増えちゃったよ。かくして「書棚の悩み」が尽きる日は決してくることがない。