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2007/01/20(土) 第5回このミス大賞授賞式

日常
気づいてみればもう5回目。1次選考で自分の箱に入っていた応募原稿が本になるのは第1回以来のことである。

シャトゥーン ヒグマの森』は「熊が襲ってくる」という、シンプルにして破壊力の強いテーマの物語(1次選考の評)。作者の増田氏が、受賞の一言として「ヒグマの強さを知ってもらいたくて書いた」ということをおっしゃっていて、深く納得した次第。

『暗闘士』は複数の策謀が並走する、複雑なドライヴ感のある物語(1次選考の評)。作者の高山氏からは、パーティ席上で次作のプロットなどをうかがうことができた。謀略が錯綜する形式は、「殺人」に頼るのを避けた結果とのこと。

そして、大賞受賞作は……→ブレイクスルー・トライアル

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ブレイクスルー・トライアル

ミステリ
ISBN:4796656731伊園旬 / 宝島社

 今回(第5回このミス大賞)の大賞受賞作。

 舞台はとある研究施設。そのセキュリティシステムを破るコンテストに、主人公をはじめとする複数のチームが挑戦する。最も短時間に目的をクリアしたチームに賞金が与えられる。ただし、彼らには「セキュリティ破り」以外にも隠れた目的があって……という物語。

侵入開始までの流れにかなりのページを割いて、各チームのメンバーをじっくり描いている。会話などのやり取りも軽妙で、離陸後の展開に期待が膨らむ。

侵入後も、それぞれのチームの動きが巧妙に組み立てられていて飽きさせない。ただ、「競争」でありながら、チーム間の駆け引きが希薄なのは残念。互いの足の引っ張り合いなんて要素があれば、さらにスリリングになったんじゃないだろうか。せっかくこれだけのメンバーをそろえたのに。

とはいえ、それぞれのチームの背景作りや、研究施設の仕掛けなど、多彩なアイデアがぎっしり詰まった作品としては十分に楽しめる。

焼き鳥の食べ方

本筋とあまりに関係がないので、別の見出しを立てておく。

以下は『ブレイクスルー・トライアル』の一節。
梓は焼き鳥を串から直接食べている。若い女は普通、箸で外してから口に入れるもんじゃないのか?(p.162)
男でも箸で外すのを見かけるが、私は男女問わず串から直接食べればいいんじゃないかと思う。

宴席で串の盛り合わせが出てくると、さっそく片っ端から解体する人がたまにいるのだが、あれは勘弁してほしい。酷いことに、ねぎまもばらしてしまうのだ。握り寿司をばらして食べたりはしないだろうに。

1: こじま 2007年02月05日(月) 午後3時12分

激しく同意。


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