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2003年12月の日記

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2003/12/14(日)

日常

この狂った世界

杉江松恋氏が息を荒くして推奨していた『ジェニファー・ガバメント』を読み始める。

まだ始めの方しか読んでないけど、背景世界の狂いっぷりは戸梶圭太『さくらインテリーズ』終盤や、フレデリック・ベグベデ『¥999』を連想させる。

2003/12/13(土)

日常

飲みに行く

夜は早慶交歓会……という名称であちこちの大学のミステリ関連のクラブのメンバーやOBなどが入り乱れる会に。慶応の学生なんてほとんど見かけなかったのだが。

今日もまた杉江松恋/福井健太/与儀明子と遅くまで深酒。

2003/12/12(金)

日常

「ユダヤ人陰謀説」

という件名のメールが届いて驚く。

このメールをきっかけにソロモン王の秘宝と日本人の起源とアメリカの中東政策にかかわる巨大な陰謀に巻き込まれたりすると大変なのだが、もちろんそんなことはなく、ある古書店からの「注文してた本を発送したからよろしくね」というお知らせだった。

どういう本を注文したのかは推して知るべし。ちなみに私は陰謀理論の本を読むのは大好きだが信奉者ではない。念のため。

2003/12/11(木)

日常

短編ミステリふう

ISBN:4622050315

をパラパラめくっていた。おしまい近くに、インド人の少女が自殺するエピソードが語られる。彼女はなぜか生理が始まるのを待って自殺するのだが、その理由がちょっとした短編ミステリになりそうな面白いもの(ってのも不謹慎だが)だった。……もちろん、そういう趣旨の本ではないのだが。

情報保護

職場は最近にわかに情報漏洩に対するガードが強化されてきた。それは結構なことではあるのだが、その余波でPDAの類も原則として持ち込み禁止になってしまったのには参った。PDAを使うというのは脳の一部を外付けにするようなものなので、禁じられると仕事の効率が著しく低下しそうである。このへんの感覚は、使ったことのある人でないと分かってもらえないだろうなあ。

……しかし、携帯電話についてなにも触れないのは片手落ちではないのか。

欺術』なんかを読むと、なんか微妙に対策がずれてるような気がしなくもない。

ISBN:479732158X

家守

ミステリ
歌野晶午 / カッパ・ノベルス

「家」に対するオブセッションをテーマにした5編を収録。

世間で評判の『葉桜の季節に君を想うということ』はどうにも物足りなかったのだが、こちらは楽しく読むことができた。

収録作

人形師の家

島田荘司の推薦で世に出た作者だが、その推薦者の「血筋」を感じさせる一編。仕掛けだけ抜き出して説明すると実に馬鹿馬鹿しい話ではあるのだが、脇を支える物語の持つネガティヴな空気と、人形そのものが持つ不気味さとが重なって、独特の雰囲気を作り上げている。

家守

同時期デビューの綾辻行人らに比べるとミステリマニアらしさを感じさせない作者だが(実際、マニアではないのだろう)、この作品の密室はカーター・ディクスンの某作品を強く連想させる。ただし残念ながら、この密室の謎解きが「家」そのものの秘密とリンクしておらず、しかも「家」の秘密も長年隠し通せるものとは思えず、演出不足の印象をぬぐえない。表題作ではあるが、5編の中では一番見劣りしてしまう。

埴生の宿

5編の中では最も気に入ったのがこれ。物理的な仕掛けが、登場人物の「家への妄執」と強固に結びついていて、ちょっとした戦慄を感じさせる。稚気あふれる仕掛けが存在しうるシチュエーションを考えた結果生まれた物語にも見えるが、どこかフィリップ・K・ディックの短編に通じるものがある。

西日本の山奥、住人のほとんどが二つの家のどちらかに属している--となると両家の対立なんぞを期待しがちだが、そんなこともなくのんびりした平和な村が舞台。明かされる真相も人情話めいているのだが、どこか背筋を冷たくさせるものがある。「埴生の宿」に次いで、本書で気に入った作品。

転居先不明

作中に語られる二つの事件が、内容的にまったくつながっていないという弱点は表題作と同じ。ただしそれが不満につながらないのは、内容とは別のかたちで二つが関連づけられているからだ(そのせいで構成はぎくしゃくしているのだが)。それに加えて、典型的ではありながらも鮮やかなしめくくりも好印象。