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2005年12月の日記

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2005/12/08(木) このスレイドがすごい!

日常

短編予選

 推理作家協会賞短編部門の予選のため、会社を定時で飛び出して推理作家協会事務局へ。とどこおりなく各自の作業分担を済ませて、1時間弱で解散。

 席上でもちょっと話題になっていたのが、今年の「このミス」だった。最近は、書店でも大々的にフェアを催すことも少ないようで、ちょっと寂しい。

このミステリーがすごい! 2006年版

ISBN:4796650334 

 同意したのはp.75、味わい深かったのはp.77最上段。

 それはさておき、ジャンル別総括の海外編で、小池啓介(本格)/川出正樹(サスペンス)/古山裕樹(犯罪小説・警察小説)の三者がそろってマイケル・スレイド『斬首人の復讐』を取り上げているのは、談合でも牽強付会でも騎馬警察の陰謀でもなく、ごく自然な流れです。だって本格ミステリだしサスペンスだし警察小説だし。

 とはいえ、三人そろってスレイドというのは笑ってしまった。別に互いの好みが似通っているわけでもないのだが。そんなわけで、アンケート集計では12位だったけど、心の中では2005年のプチ三冠王です。そしてもちろん永遠の一番星。

2005/12/07(水) 表紙に関する妄想

日常

読みかけの本

 なんとはなしに読みかけリストを公開してしまったけど、墓穴を掘ったような気がしなくもない。『マヂック・オペラ』をいつ読み終えるかが当面の見どころですね。

ISBN:4152086718

表紙・生頼範義

 それにしても生頼範義の表紙は強烈である。『マヂック・オペラ』みたいな作品の表紙にはいいけど、モノによっては中身が表紙に負けてしまいそうだ(本じゃないけど、一部のゴジラ映画なんかは負けているような気がする)。

 そんなわけで、いろいろな本について「表紙・生頼範義」だったらどうなるのかを妄想するのはなかなか楽しい。

 ちなみに、さっきから「もしもドナルド・E・ウェストレイクの『踊る黄金像』の表紙が生頼範義だったら」という妄想が頭から離れなくて困っている。おかげで原稿も進みゃしない。ガッタ・ハッスル。

2005/12/05(月) 最近の再読

日常

[]最近の再読

最近まとめて読み直したもの。

  • ジミー・ザ・キッド ドナルド・E・ウェストレイク
  • 悪党パーカー/ターゲット リチャード・スターク
  • 泥棒は抽象画を描く ローレンス・ブロック
  • 百万ドルをとり返せ! ジェフリー・アーチャー
  • 世界をおれのポケットに ジェイムズ・ハドリー・チェイス
  • バーネット探偵社 モーリス・ルブラン
  • 白昼堂々 結城昌治
  • 大誘拐 天藤真
  • 相棒に気をつけろ 逢坂剛
  • ギャングスター・レッスン 垣根涼介
  • 陽気なギャングが地球を回す 伊坂幸太郎

さて、私は何をしているのでしょう。

群がる鳥に網を張れ

ノワール
ジェイムズ・ハドリー・チェイス / 創元推理文庫

 ギャンブルで借金を抱えた保険セールスマンのアンソンが出会ったのは、退屈な夫との暮らしに倦んでいた美貌の人妻メグ。彼女は小説を書いていて、そのプロットを利用した保険金詐欺をしないかとアンソンに持ちかける。かくしてアンソンは、彼女の夫を殺そうと策を練る。だが、そこには思わぬ罠が……。

 どん詰まりの日常、誘惑に満ちた出会い、そして一獲千金の危険な賭け。この手の小説じゃ、おなじみのシチュエーションだ。

 ただしアンソンにとって、「危険な賭け」は決して「危険な夢」につながるものではない。
だが、お笑い種なのは自分でもわかっていた。一年で、いや、そんなにもかからずに、五万ドルなんか消えてしまうにきまっている。金なんかいつまでも持っていたためしがないのだ。(p.56)
 彼は自分自身を信じていない。夢想は夢想に過ぎないことを知っている。自分の弱さからくる、ろくでもない末路が見えているのだ。

 自分すら信じていないのだから、自分の共謀者を見る目も醒めている。
メグはセックスのお遊びとしてはすばらしいが、それ以上のものじゃなく、ぜったいに力になんかなってくれない。あれはだめな女だ。なにもやれない、どうしようもない屑で、おれとおなじ金のとりこでしかない。(p.57)
……とわかっているけれど、彼は目先の快楽にあっさり屈してしまう。上のように、メグに対して辛辣な思いを抱いたあとの彼の行動はこうだ。
枕にひっくりかえり、拳銃をなでさすりながらまたメグのことを考える。(p.57)
 ひとりでいい気分、というわけだ(拳銃をなでさすりながら)。一方通行の思い入れ。そういえばこの作品は、裏切りと不信の物語でもある。アンソン以外の人物もそれぞれの思惑で動いていて、少ないページ数の中にさまざまな企みが交錯する。登場人物は互いを信用していない。あるいは、一方通行の信頼関係でしかない。そんな見せかけの信頼関係が破綻する瞬間に、驚きが仕掛けられている。

 ずるずると転落してしまう男が、抜け道のない破滅にはまり込んでしまう物語。突き放すような幕切れが、どうにもならなかった男の哀感を浮き彫りにする。