ようこそゲストさん

Bookstack

メッセージ欄

2006年1月の日記

一覧で表示する

2006/01/18(水)

日常

[]30デイズ・ナイト / スティーヴ・ナイルズ、ベン・テンプルスミス

アメリカ最北の町を舞台にした吸血鬼もの……であるらしい。

ISBN:4896372085

[]迷宮の神 / コリン・ウィルソン

元サンリオ文庫の復刊。訳者・大瀧啓裕の“固有名詞の音は原語の音に可能な限り近づける”方針は本書にも適用されているようだ。

Dalzielを「ダルジール」と表記していたけれど、後になって実は「ディーエル」だと判明した……なんて例もあるので、考え方としては理解できる。

ただ、訳者あとがきをざっと見ると、著者名の「ウィルソン」を本当は「ウィルスン」としたかった……なんて書かれていて、私にはずいぶん細かいように思えた。

ISBN:4488013244

[]隣りのマフィア / トニーノ・ブナキスタ

以前ハヤカワ・ミステリ文庫から『夜を喰らう』が出たときは「トニーノ・ベナキスタ」という表記だったけれど、どちらが原音に近いのだろう(←少し大瀧啓裕に影響されている模様)。

ISBN:4167705052

[]魔術師の夜 / キャロル・オコンネル

キャシー・マロリーシリーズの最新作。読み始めたところ。

1: OK 『映画関係の仕事では「ブナキスタ」表記みたいなので、それに合わせたんですかね。http://www.allcinema.net/p...』 (2006/01/19 13:20)

2: 同書担当者の同僚 『担当者に「ブぢゃなくてベ」と伝えたところ、一時的に「ベ」で進行していて、最終的に「ブ」になっていたので訳者の意向が反映されている...』 (2006/01/19 17:40)

3: ふるやま 『なるほど、そういうことですか>OKさん&担当者の同僚さんそういえば私も、最初に「ルヘイン」を見たときは違和感がありました。』 (2006/01/20 8:23)

2006/01/17(火)

日常

[]チーム・バチスタの栄光 / 海堂尊

満足。これは大賞受賞がすんなり決まったのもうなずける。キャラクターの動かし方が実に巧みなのだ。詳細はtopicsを参照

[]屋根裏の遠い旅 / 那須正幹

「ズッコケ三人組」シリーズの作者による、「太平洋戦争に勝った日本」を舞台にした改変歴史物。

ISBN:4036522906

ミッドウェーで勝利を収めた日本は、その後アメリカと講和。戦後も「大東亜共栄圏」を維持している……が、その支配体制は揺らいでいた。中国や東南アジアでは反日紛争が続き、日本軍はベトナムへの原爆投下を検討する……という、レッドサン・ブラッククロス初期案のような暗黒世界である。

主人公は、たまたまこのパラレルワールドに迷い込んでしまった小学生。なので上記のような世界情勢は伝聞の形でおぼろげに伝えられるだけ。全体主義社会に放り込まれてしまった恐怖感と、そこで生きてゆこうとする意志を中心に描いている。

冒頭には憲法第九条が引用されているという、今では煙たがられそうなモノではあるが、改変歴史物に関心のある向きなら目を通してもよさそう。

今日のメモについて

もともとの問題提起についてはあまり関心はなかったけれど(同時期の『容疑者X』の隠された真相のほうが面白かった)、他の方々の意見は興味深く読んでいました。

2006/01/16(月)

日常

[]ビートルズ・ファンタジー / ラリー・カーワン

1962年、ビートルズはブレイクを目の前にして解散した。それから25年。かつてのメンバーでただ一人それなりに成功を収めたポールは、自分の原点だったビートルズを甦らせようとするが……という歴史改変もの。

ISBN:4594050778

南北に分断された日本を描いた佐藤大輔『征途』は、同時にハインラインやティプトリーJr.がSF作家にならなかった世界を描いた小説でもあるのだが、「この世界のSFはどうなってしまうんだろう」ということが気になった覚えがある。

ちなみに本書では、ビートルズが存在しなかったために、イギリスの歴史そのものが変わってしまっている模様。

[]獣の夢 / 中井拓志

大変満足。J.G.バラードの『殺す』あたりの先に踏み込んだ作品、と感じた。「空気読め」というときの「空気」にまつわる物語、とも言える。

猟奇犯罪を犯す側よりも、それを了解しやすい「物語」として受容する世間の側を描いてみせた作品。

[]チーム・バチスタの栄光 / 海堂尊

とある大学病院で、難度の高いバチスタ手術を30回近く成功させてきた外科チーム。ところが、三回の失敗が相次いで起きた。原因不明の術中死。病院長は、不定愁訴外来を受け持つ万年講師・田口に調査を命じた……という、病院を舞台にしたミステリ。

わずかな言葉でくっきりとキャラクターを浮かび上がらせて、大学病院内の人間関係をも描き出してしまう腕前は見事。院内リスクマネジメント委員会の委員長なんて、まだ登場すらしていないのに、その事なかれ主義の権化とも言うべき姿勢がすでに印象深い。

2006/01/15(日)

日常

[]神の血脈 / 伊藤致雄

第6回小松左京賞受賞作。

ISBN:4758410593

[]獣の夢 / 中井拓志

小学生による小学生の遺体損壊事件。そんなショッキングな事件が起きた小学校で、九年を経て再び似たような事件が……という物語。

事件がネットで話題になっていて、専門に取り上げるサイト群が存在する……というあたりからしても、扱っている領域は『quarter mo@n』ISBN:4043464029に近い。

007/ダイ・アナザー・デイ

たまたまTVで放映されているのを見た。

今回の敵役は北朝鮮の軍人。なぜか北朝鮮の軍事施設に日本の兜や日本刀が飾られていたが、そんなことがどうでもよくなってしまうくらいの豪快な展開にただ笑って圧倒されるばかり。

北朝鮮はこの映画に抗議したらしいが、おそらく金正日が登場しないからではないか。「チーム・アメリカ」みたいに重要な役にすればよかったのに。クライマックスはサイボーグ化した金正日とボンドの死闘とか。

しかし最も笑ってしまったのは作品本体ではなく、終了後の「この作品はフィクションであり、実在のものとは関係ありません」というおことわり。呆れながら笑ってしまった。いや、あのね……。

1: 単二 『途中から見たから全然分かんなかったんだけど、どーしてあの悪い人(笑)は、将軍の息子なのに西洋人だったの? 整形?(爆)』 (2006/01/17 7:57)

2: ふるやま 『ネタばらしな気もしますが……「整形」です。それもDNA変わるくらい激しいやつ。』 (2006/01/17 19:21)

3: 単二 『そ、それってすでに別の生物なんでわ。(^^;;;;;すげーぞ007(爆)それはともかくボンドガールよか悪者のイロの方がいい女っぽ...』 (2006/01/19 17:15)

4: 伊藤致雄 『神の血脈の作者です。こんばんわ。伊藤です。伊東ではありません。それはともかく読後感がありませんね。読めましたか?』 (2006/05/23 18:11)

5: ふるやま 『お名前の件、大変失礼いたしました。しばらく前に読み終えたのですが、読後感のほうはしばしお待ちを。』 (2006/05/27 12:10)

2006/01/14(土)

日常

やっぱり体調が

思わしくないのでおとなしく寝ている。

[]チーム・バチスタの栄光 / 海堂尊

第4回「このミス」大賞受賞作。

[]最後の喝采 / ロバート・ゴダード

ISBN:4062752905

[]逸脱者 / グレッグ・ルッカ

アティカス・コディアックシリーズ第4作。

ISBN:4062753073

ISBN:4062753103

[]幸運は誰に? / カール・ハイアセン

きわめて精緻に組み立てられたバカなお話。メインの宝くじ争奪戦に加え、田舎町の「奇蹟」ビジネス(涙を流すインチキ聖母像などなど)や広大な森林をめぐる買収話などが絡み合うプロットは決して単純なものではないが、個性の強いキャラクターのおかげで分かりやすいものになっている。

それぞれのキャラクターが好き勝手に動き回っているようでいながら、最後はパズルが完成するかのように個々のサブプロットが落ち着くべきところに収束する。八方破れに見えて、実はしっかり計算されている。読む側はその巧妙さに圧倒されることもなく、バカバカしく愉快な展開を楽しむばかり。

世の中、上手いけれど上手さが目立ってしまう作品も多い(私にとってはトマス・H・クックの一連の『~の記憶』なんかがそうだ)。それに比べると、もはや技巧を読者に意識させないのがハイアセン。素晴らしい。