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悪党パーカー/ターゲット

ミステリ
リチャード・スターク / 木村仁良訳 / ハヤカワ・ミステリ文庫

 財務コンサルタント・キャスマンが持ちかけてきた仕事は、試験的に興行しているカジノ船の襲撃だった。パーカーは彼の意図に不審なものを感じながらも、仲間を集めて計画を練る……。

 『悪党パーカー/エンジェル』に続く、復活第二弾。

 標的は川の上のカジノ船。周囲と隔絶された、いわば一種の「密室」である。この密室にため込まれた大金をいかにして奪い、いかにして逃げ延びるか。冷徹な計画の下に不可能を可能にするプロセスは、形こそ違うが、謎解きミステリにも通じるカタルシスを感じさせてくれる。そう、これはまぎれもなく、不可能犯罪を描くミステリである。

 そして、こんな大仕事をやってのけるパーカーの個性も、このシリーズの魅力の大きな位置を占めている。「仕事」に徹する非情なプロフェッショナル。場当たり的な仕事は決してしない。事前に入念な調査をして、計画を立て、同じくプロの仲間たちと連絡を取り合い、計画を実行に移す。予定外の事態にも臨機応変に対処し、本来の目的を見失わない。

 そう、やっていることはまぎれもない犯罪だが、その犯罪に臨む姿勢は、まぎれもなく企業の新人教育で教えこまれるような「正しい社会人」そのものである。業務計画の立案、プロジェクトの工程管理、チーム内での情報共有、業務の分担、業績の評価、リスクマネジメント……。

「プレジデント」なんかも、いつまでも戦国武将ばっかり取り上げてないで、「悪党パーカーに見るプロジェクト管理者の資質」「優れた人材獲得の秘訣を悪党パーカーに学ぶ」「悪党パーカー流リスクマネジメント」なんて特集でも組めばいいのにね。あと、企業の新人教育のテキストにもおすすめ。

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