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吸血鬼ドラキュラ

ホラー
吸血鬼ドラキュラ ブラム・ストーカー / 菊地秀行 / 講談社

 古典的名作を、現代日本作家の手で子供向けに翻案するというシリーズの一冊。

 この作品を翻案するのは、「吸血鬼で稼いだ日本人ベスト10」を作れば間違いなく上位に食い込むであろう菊地秀行。ちなみに挿絵は天野喜孝。そのスジの人にはたまらない人選だろう。

 菊地秀行は、原典に敬意を払いながらも(ここが「超訳」との大きな違い)、自由なアレンジを施している。原作では「老人」だったドラキュラを「貴公子」に変えてみせるのは序の口。原作よりも派手な展開はなかなか楽しい。子供向けということもあって、分厚い原作よりも読みやすいかもしれない。

 あとがきも、これが子供向けであることを半ば忘れているかのような暴走ぶり。「クリストファー・リーのイメージで書きました」なんて、子供に言ってどうしようというのだ。「いかがでしょうか」って、子供はあまりクリストファー・リーを知らないと思うぞ。

 原典と翻案者の組み合わせは、間違いなくこのシリーズ最強のタッグ。

 菊地秀行の、ホラーの古典に対する深い愛情が伝わる一冊だ。

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