【評論】
丸谷才一 / 講談社文芸文庫
なぜ忠臣蔵はかくも人気があるのかという話から、「曾我物語」へと話は移り、さらに元禄時代の世情について述べられる。そして最後は忠臣蔵の人気の根元へと迫ってゆく評論。
この本の最もおもしろい部分は、最後の章に示される結論----「忠臣蔵とは何か」に対する答えである。それまでに述べてきたことを下敷きに導き出される結論はあまりにも意外で、著者自身、
「私が思ひ描く時間の枠組は気が遠くなるくらゐ大きい」
と述べてゐるほどだ(あ、うつっちゃった)。下手なミステリよりもはるかにスリリングな謎解きが展開されている。ほとんど伝奇SFといってもいい。その結論についてはここには書かない(ミステリのネタばらしは避ける方がいいだろう)。ちなみに、瀬戸川猛資氏の『夢想の研究』にもこの本が紹介されていた(もともとこの本を手にしたきっかけも、『夢想の研究』を読んだからだった)。
ちなみに、本書を受けて書かれたのが井沢元彦『忠臣蔵 元禄十五年の反逆』(新潮文庫)。ベースにあるのは丸谷の論だが、著者お得意の「言霊」をキーにした忠臣蔵の謎解きが繰り広げられる。こちらもおすすめ。
なぜ忠臣蔵はかくも人気があるのかという話から、「曾我物語」へと話は移り、さらに元禄時代の世情について述べられる。そして最後は忠臣蔵の人気の根元へと迫ってゆく評論。
この本の最もおもしろい部分は、最後の章に示される結論----「忠臣蔵とは何か」に対する答えである。それまでに述べてきたことを下敷きに導き出される結論はあまりにも意外で、著者自身、
「私が思ひ描く時間の枠組は気が遠くなるくらゐ大きい」
と述べてゐるほどだ(あ、うつっちゃった)。下手なミステリよりもはるかにスリリングな謎解きが展開されている。ほとんど伝奇SFといってもいい。その結論についてはここには書かない(ミステリのネタばらしは避ける方がいいだろう)。ちなみに、瀬戸川猛資氏の『夢想の研究』にもこの本が紹介されていた(もともとこの本を手にしたきっかけも、『夢想の研究』を読んだからだった)。
ちなみに、本書を受けて書かれたのが井沢元彦『忠臣蔵 元禄十五年の反逆』(新潮文庫)。ベースにあるのは丸谷の論だが、著者お得意の「言霊」をキーにした忠臣蔵の謎解きが繰り広げられる。こちらもおすすめ。